第1章 僕たちの幸せ 8

「ただいまー!」

「おかえり!」


渡り鳥に帰ると相変わらず元気なチズがお出迎えしてくれる。今日はトシさんがいないから、私を待ち焦がれていた。


「今日はヨッちゃんのご飯!何作るのー?」

「チズの好きなものにしようと思ってるよ。」

「またご飯と味噌汁さえ作っておけば良いと思って!そんな甘い考えじゃ年下から舐められるぜ」

本当に、どこで言葉を覚えているんだか。


「そう言えば、今日トシさん帰ってこないって」

「夜までってことでしょ?」

「んーん、明日のお昼に帰ってくるって」

え、、


胸が締まる感覚になった。今までトシさんが丸一日渡り鳥を留守にしたことはない。月に1回の外出も、必ず夜には帰ってきていた。何かあったのだろうか。

「なんか、みんなには言うなよって言われたけど、そういう時って言った方が良いんだよね?」

「違うと思うけど、教えてくれてありがとう」

まぁ、あんまり気にせずいつも通り過ごそう。トシさんのことだ、なにがあっても大丈夫。ヨシコは自分に言い聞かせ、ご飯の支度を始めた。

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