第1章 僕たちの幸せ 7

「ヨッちゃん、バイバーイ」

「またねー」

授業が終わり、帰路につく。部活に向かう生徒、駅まで走る生徒、談笑する生徒、様々な形で放課後を迎える学校。終わりであり始まりでもあるこの時間が、自分は好きだ。自分は帰るだけなので、他の生徒がキラキラして見える。まぁ、ないものねだりかな。ヨシコはそう思いながら歩く。

(今日は何作ろうかなー)


トシさんがいない日は、私が晩御飯を作っている。まぁ、月に1回だけだけど。トシさんは月に1回だけ渡り鳥から離れる。何をしているかは定かではない。

トシさんの料理は抜群に美味しいし、私が作る料理はまぁまぁだから、みんなにいつも不満を言われる。今日こそは!と思うが、月に1回ではモチベーションを保つのも難しい。

(そう言えば、私の好きな食べ物ってなんだろう?)

ちゃんと考えたことなかったけど、大好物って言えるものがないなぁ。分かんないから、今日はチズの好きなご飯と味噌汁さえあれば良いか。


そんなことを考えていると、渡り鳥の門が見える。学校からは歩いて15分。ふとしたことを考えるには最適な時間のような気がする。

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