第1章 僕たちの幸せ 5
「行ってきまーす!」
「はい、いってらっしゃい」
いつも最後に出て行くヨシコを見送り、ひと息つく。
この生活を、何年続けているだろうか。
4人の子供達を見送り、渡り鳥には私とチズの2人になる。チズは学校に行っていないから、責任を持って面倒を見ている。
子供達が集まれば賑やかなこの場所も、朝8時には閑散とした景色に変わる。子供の力は本当にすごい。
「トシさーん!カブト虫がいる!」
チズがカメムシを嬉しそうに持っている。
「トシさん!変な匂いする!お風呂入った!?加齢臭!?」
知らないで良いことは知ってるんだな笑
「加齢臭じゃないし、それはカブト虫じゃないよ。」
「へぇー、じゃあクワガタだ!」
まぁ、なんでも良い。この笑顔さえ本物なら。
この子達をこれ以上、守っていけるだろうか。毎日そう思いながら、気がつけば10年が経とうとしている。いつまでも続かないと分かっているけど、人は永遠を手に入れようとする。人は永遠を手に入れたことがないから。そう思いながら、子ども達の成長を見守ろう。
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