第5話 術後の入院生活
手術が終わって翌日、執刀していただいた先生が午前中に来てくださり、手術の内容を説明していただきました。
手術箇所の経過を見つつ今後のリハビリなど退院と通常通りの日常生活が送れる様になる為の計画を立てていく様です。
ですが、早速もうこの日からキャスター付きの肘をついて押しながら片足でも移動できる歩行器で動く練習だそうです。
まともに立ち上がるのは事故をしてからなので4日ぶりです。
リハビリの先生に介添えしていただきながら、歩行器に手を掛け左足一本で立ち上がりました。
初めて煙草を吸ったときくらいの目眩がして卒倒しそうになりました。
それはそうですよね。
なにせほぼ4日間の絶食、手術での全身麻酔の余韻、現在投与中の点滴での痛み止め、抗生剤、久し振りに立ち上がった事での血圧低下。
しかしまぁなんとか踏ん張りましてフラフラしつつも立っていることが維持できるぐらいはできました。
なので直ぐ実際に移動の仕方を指導していただき取り敢えず自力でトイレへ行く練習をしました。
自分の中ではとにかくトイレへ行ける様になる事が最優先事項だったので必死に覚えました。
とは言ってもそれほど大変ではなかったので直ぐに要領を得ることができました。
自力で便が出来る、この事が大前提でやっと安心して食事が摂れるのです。
そしてこの時から徐々に己の体で頼らずに身の回りの事が出来る様、リハビリ訓練が本格化されていくのです。
それと同時に、普通の事が普通に出来るという事や健康でいられるということの有り難さに気付かされました。
それがままならなくなった時に病院に頼れるという有り難さにも気付かされました。
それらに携わる、先生は勿論のこと看護師さんへは本当に頭下がる思いで一杯です。
この様な大変なお仕事をして下さっている看護師さんの大半が女性だと思うと女性のたくましさと人としての本来の強さというか偉大さを感じて敬服するばかりです。
あくまで持論ですが男性は女性に感謝しながら生きていく事が平和でそして幸せになれる近道かもしれませんね。
そんなこんなで早速この日のお昼から食事を頂く事になりました。
その前にまだお風呂なんかは入れないし、事故した日から入ってもなかったので体拭きをしていただき下着まで替えていただきました。
体には事故以来の血や汚れ匂いが付いていたでしょうにテキパキとやっていただきました。
まさに、プロです。(頭下がります)
空腹にまかせて御飯食べて、オムツに便しなくてよかったと本当に思いました。
さぁ、4日ぶりのまともな食事です。
久し振りの食事ということで気を使ってくれたのか、先ずは一杯のかけそばからでした。
決して熱々でもなければ豪華でもない、ワカメと刻みネギと蒲鉾のシンプルな蕎麦でした。
しかし、震えるほど旨かったです。
病院食ですから味もきっと薄味だったでしょう。
けれど本当に美味しかったです。
このあと退院するまで三度三度、毎日、朝昼晩と手作りの食事が出てくる訳です。
普段の自分の食事は自炊でしたから、それどころか仕事もそうなんですけどね。
気にもしていないと言うか忘れてましたが、他人様に作って頂けるという事の有り難みを改めて知ったのはとても新鮮でした。
私もお客さまに感謝してもらえるくらいの仕事をしなきゃダメだ。
基本はここだと自分の仕事のモチベーションに繋がるかもしれない事を再確認できた気もします。
そういった感謝の気持ちなんかが余計に美味しいと思わせたのかもしれませんね。
ただ、蕎麦を食べているとき下唇当たりに痛みを感じたんですが、どうやら手術の時に取り付けた人工呼吸器の気管内挿管の管が唇に当たりっぱなしになって口内炎になったらしいです。
これはかなりの確率でなるらしく人工呼吸器あるあるだそうです。
あと、最近ではコロナによる重症化の方や中等症の方へのECMOや人工呼吸器が必須になってきているらしいです。
私は46歳なのですが入院している患者さんの平均年齢からしたら大分若いらしいんです。
そんな私でも2時間半ほど呼吸器を使っただけで一週間以上も肺というか気管支が調子悪かったです。
なので、重篤化しやすい年齢の方や既往歴のある方はかなり体への負担があると思いますので感染しないように気を付けていただきたいです。
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