このまま時間が止まればいいのに

次の日、波瑠と学校へ行くと

”おはよ〜”

”あっ、〇〇おはよう!”

挨拶が飛び交っていた

昨日、会ったばかりなのにもうタメ口なんだ

世の中ってすごいね

周りの人が挨拶を交わし雑談を始める中、私たちは、挨拶をせずに教室に入ったはずなんだけど.....

波瑠は、女子たちに囲まれて、動けない状態になっていた

”如月くん、おはよう!!”

”今日、クラスのみんなで、仲を深めよう!ってことでカラオケに行くんだけど、如月くんは来る?”

ツバメの雛が、親のツバメに餌を求めているみたいだった

本当、このクラスの女子って見てて飽きないよなぁ

波瑠が、視線で”助けて”とメッセージを送って来ているが、私にそこまでの力はないし、人と関わるのがめんどくさいから

私は、波瑠からHelpをなかったことにした


ーーーーー昼休みーーーーーー

昼休み、私たちは弁当を持って、屋上に行った

人がたくさんいるだろうなーと思いながら、ドアを開けると....誰もいなかった

「なんで、あのとき助けてくれなかったの!?」

波瑠が、お弁当を広げながら聞いてきた

あれ、若干怒ってる?

まぁ、いっか

「めんどかったから(人と関わるのが)」

「はぁ、花夏がひどいよー、蒼空」

「えっ、蒼空いるの!?」

朝、来ていなかったから、来ていないのかと思った

でも、どこにいるんだろう?

私がキョロキョロと周りを探していると

「ほら、上の所」

と給水塔っぽいものが設置してある所を指さした

波瑠が指さしたところを見ると、蒼空がいた!

「蒼空、久しぶり〜。元気だった?」

私が声をかけると

「元気だよ、大きい怪我とかもないし。花夏は、どうなんだ?」

「私も元気だよ」

「無表情で言われても、説得力ないけどな」

「まぁ、そこは見逃せ」

「ちょっと!僕を仲間はずれにしないでよ」

と波瑠が割り込んでくる

「今更だろ」

「僕の扱い、ひどくない!?」

時間が戻った気がした

三人でよく笑っていた、小さな私たちに

懐かしいな

「あっ、花夏が、笑った!!」

私は、笑っていたらしい

でも、私が笑ったからって、なんで、二人が嬉しそうなんだろう?

「ねぇ、明日からはさ、また三人で登校しない?」

「花夏、ナイスアイディア!!」

私は、一瞬、このまま時間が止まればいいのに、と思ってしまったのだ

詳しいことは、グループLINEで決めることになった

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