第18話 宇宙竜牙兵
「まさかこんなものが残っていたとは……!」
宇宙トルーパー達が構える。
そして宇宙竜牙兵が襲い掛かってきた。
「うおおおっ!?」
巨体からは想像できないスピード。
俺たちはその攻撃をなんとか避ける。
そして俺とベイが攻撃しようとすると、宇宙竜牙兵はそれを遮るように手を広げてきた。
「なんだ?」
すると、突然床や壁にひびが入り始める。
「まずいっ! こいつ、この屋敷ごと壊すつもりだ!」
宇宙トルーパー達が言う。
その言葉通り、やがてバキバキという音と共に、天井が崩れ始めた。
このままじゃ潰される……!
そして轟音を立て、瓦礫が落ちてくる。
だが――
宇宙勇者の地獄の訓練は、伊達じゃあない。
「!!」
宇宙トルーパー、アルが声をあげる。
そう、俺は――エーテルサイコキネシスで、瓦礫を止めていた。
だが――重い。
「っ!!」
轟音が響く。
床はとうに砕け、俺たちは地下へと落下していた。
そのうえでさらに瓦礫が落ち来てたら、俺たちは確実に潰されて死んでいただろう。
だがこのままでは――いずれそうなる。その前に。
「瓦礫を――撃ってくれ!!」
俺の言葉に、宇宙トルーパー達が動く。
宇宙トルーパー達は銃で、瓦礫を破壊していく。
そして俺も。
宇宙サイコキネシスで、落ちてくる瓦礫を吹き飛ばしていった。
だが、宇宙竜牙兵はそれを黙って見ているわけではない。
「勇者殿!!」
ゴーレムの口が開く。そこからエネルギーが高まっていくのがわかる。こいつ、口からビームでも出す気か。
だが。
「だったら……!!」
俺はサイコキネシスで瓦礫をその口に叩き込む。宇宙竜牙兵の身体がぐらつく。今だ!
「やってくれ!」
俺の言葉に、宇宙トルーパー達が一斉に銃を構えて発砲する。
数多のビーム弾が、宇宙竜牙兵に突き刺さり、その骨の身体を穿っていく。
「やったか!」
アルが叫ぶ。そのセリフはだめだ!!
「まだだ!」
俺が言うと同時に、宇宙竜牙兵が動き出した。
「馬鹿な!」
「効いてないのか!」
違う。
確かにダメージはあったようだが、それでも動ける程度にしかダメージを受けていないのだ。
「なら!」
俺は跳ぶ。
アエティルケインの光の刃を伸ばし、距離を詰める。
「これで!」
――だが。
「ぐっ!」
宇宙竜牙兵の拳が俺を捉え、吹き飛ばす。
俺の身体は宙を舞い、近くの柱に激突した。
「ぐうっ……!」
全身が痛い。血が出ている。だが、死んではいない。あの程度の打撃で死ぬほど、今の俺の肉体は脆くない。
「勇者どの!」
「大丈夫だ」
心配そうな宇宙トルーパーに答える。
「俺よりも……こいつの相手を頼む」
俺はそう言って、宇宙トルーパー達に指示を出す。
「宇宙電磁シールドを展開して待機しろ。あれが来るぞ」
「しかし……」
「いいから早く!」
俺の言葉に従い、宇宙トルーパー達は防御態勢を取る。
「来るか……」
宇宙竜牙兵の口に光が収束していく。やはり、ビームか。
「やらせはしない!」
だが、それを見越していたかのように、宇宙トルーパー・アルが、宇宙竜牙兵に飛び掛かる。
「喰らえ!」
必殺の宇宙CQC! ガリアードの私兵たちをたたきのめした、宇宙格闘術による、飛び蹴りが炸裂する。
だが……やはりサイズがちがいすぎた。
それは宇宙竜牙兵の腕によって防がれてしまった。
「何!?」
だが、その攻撃は無駄ではなかった。親王してしまったことで、宇宙竜牙兵のビーム充填が止まる。
「いまだ!」
俺はアエティルケインの刃を、宇宙竜牙兵の胴体に突き立てた。
だが、手ごたえは薄い!!
確かに光の刃は骨を貫いているが――
「……!?」
宇宙竜牙兵の胴体、肋骨の奥に何かがいる。
それは――
この宇宙竜牙兵を人間サイズにしたようなもの。
つまり――操縦しているのか!!
そうとわかれば。
俺は光刃を突き立て、肋骨を落とす。
そこには、やはり宇宙竜牙兵ムの人間大のものがいた。
『!!』
そいつは俺に気づく。だがもう遅い。
「終わりだ」
俺の一撃は、そいつの頭を消し飛ばした。
宇宙竜牙兵が倒れる。
「ふう……」
どうやら、勝ったらしい。
「勇者どの!」
ベイが駆け寄ってくる。
「大丈夫ですか勇者殿!」
「ああ、問題ない」
俺は立ち上がる。正直めちゃくちゃ痛いし、頭から出血しているが――
「こいつは……竜牙兵ですね」
ベイが言う。
宇宙竜牙兵、ドラゴントゥースウォリアー。あのデータにあったものだ。
「それが載って動かしてた……さしずめ、宇宙竜牙騎兵ってところか」
「ああ、一体だけで助かったぜ。大量にいたらどうなってたことか」
アルが言う。
……また、そういうセリフをこの宇宙トルーパーは!!
すると――
外から爆発音がした。
「!!」
崩れた壁の亀裂から外が見える。
そこには――
宇宙竜牙兵の、大群があった。
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