第20話 憂鬱のサシャ

 サシャは地面を蹴りながら歩いていた。

(チェッ! なんですか! サシャだけノケモノにして! オサナナジミってずるいです!)

 などと考えながら十数歩ほど進んだところで、

(ん!? でも待てよ!?)

 彼女は今日が何月何日であるか。ということに気がついた。

「そうか! もしかして!」

 途端にサシャの歩調は弾むように軽快なものになった。だが。

 ふとたちどまって空を見上げた。雨は降っていないが灰色の雲で覆われている。

(考えないようにしてたけど。サシャがみんなと一緒にいられるのってもう)

 そう思うと胸が締め付けられる。涙が出そうになる。

(いやそれ以前に。もし作戦が失敗したらみんなは)

 サシャは涙を噛み殺した。

(泣いてる場合じゃない! そうだブシツに帰ったら。みんなが来るまで、がっつりトレーニングをしよう!)

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