第十回 そして糸を紡ぐため、僕らは手を取り合って歩む。


 ――あの頃のように。


 それは小学六年生の、東の都にいた頃。僕の卒業アルバムにも、せっちゃんの卒業アルバムにもお互いが映っている。……つまり同じ小学校の卒業生で、同じクラスにいた。



 手を取って歩む今、或いは五つのスタンプを集めるため、店舗から店舗へ、テンポよくもリズミカルに駆け巡る。様々な商品や欲しかったアイテムなどを入手する。


 そんな傍ら、繋がる糸。

 想い出という名の、その繋がる糸に肖る。あの頃からの話題が……今蘇る。


「思えばこうして梨花りかと、よく歩いたね。

 でねでね、そのあとよく私ん家で作ったね、プラモ……そこ頃からバンプラか」


「うん、そうだね……

 でも、せっちゃん変わったね、あの頃はとっても真面目、学級委員長だったね」


 そうなの。人は見かけによらない……


 茶髪の派手派手な色彩のお洋服。それが以前は黒髪のポニーテール、清楚ある服装だったのだけど……「あー梨花ったら何もわかってない。真面目っ子は学校の中だけ。今も変わってないよ、模型女子モケジョの私。あんたが色々と、私に仕込んでくれたおかげでね」


「って、僕のせいなの?」


「そう。百パー。あんたが中々振り向いてくれないから。私はあんたのこと……ね、わかるよね? 恋は盲目……ってその、と、とにかくバンプラ、一緒に作りたいから」


 と、顔を赤くして、プッと膨れるせっちゃん。


 ……これって、まさかの百合百合な展開なの。


「で、今はどうなの?」と、僕が訊くと、


「今は、こう見えても生徒会の副会……って、何言わせるの? そりゃ今でも一日二十四時間の一年三百六十五日、ずっといい子じゃいられないのっ。その内の何割かはリベートというか、悪い子の部分もなきゃ息が詰まっちゃうのよ」と、勝手に言う始末だ。



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