第九回 糸……切れる。それは何故?
――プツリと切れた。糸のように……呆気なくも。
ツーツーツーと残る音。
思い出しかけた幼少期、糸電話の……その糸も切れたようで、僕の脳内から。
スマホを持つ手の力が抜けて、膝から下の力も抜け……地面へペタリと跪く。
「……だよね。最低なお姉ちゃんだよね、僕」
膝に落ちる涙。堪え切れず零れる……悔やまれる思い。それは、バンプラ・スタンプラリー専用ノートを忘れた以上に、千佳の気持ちを考えずに都合よく、自分の我儘で利用しようとしたことに。
ポンと、肩に手を置かれる。
「何だか、ごめん……
私が調子に乗って
と、せっちゃんが励ましてくれた。やや涙目だった。
僕は、まだ作り笑顔だと思うけど、涙を拭きながら、
「ありがと」と、言えた。
――「さあ、立って」「うん」と、さらに交わされる言葉。今度はその切れた糸を繋ぎとめるために、僕らは歩く。
「こうなったら一蓮托生よ」
と彼女は言う。その心は、彼女のスタンプラリー専用ノートの託す。二人で一つの賞品を目指して、二人でその賞品のバンプラを作り上げて、創り上げる二人の
――そして手を取り合う。
ここからが本当に意味でのスタート。
想い出は蘇る、あれは小学六年生の頃。東の都にいた頃の、僕とせっちゃんが一緒にいた歴史。……今ここで、その新章が綴られてゆく。僕ら
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