第八回 それ、どっちもどっちかも?
――コール&コール、コーリング! そのため手にするマイ・スマホ。
繋ぎとめるための糸、
淡い糸電話の、そんな思い出とともに、
細くも脆いようなイメージ。だけれど、太く強固な絆……繰り返す、スマホ内部で響くコール音。「出て、お願い」と、その音に載せ、それもまた繰り返す。
そんな僕を傍で……
そばから見守るせっちゃん。言葉の喧嘩はするものの……その奥にある想い。
――どっちもどっちだね。
ふとそう思う。すると効果音! ガチャリと。僕には二つの選択肢があった。コールの向こう側に居られる人物。僕の理解者……でも、僕がコーリングしたのは、
「あっ、
『何かあったみたいね、その感じだと。ものの見事に吠え面掻いてるようだね』
「うるさい! 余計な詮索はいいからっ、
えっと……あの、僕のお部屋に行って、お勉強机の上にね……」
『あるよ。バンプラ・スタンプラリー専用ノート。
しっかりとど真ん中に、しかも誰でもわかるようにって……まさかとは思うけれど、マジで忘れちゃったってことなの?』
と、その語尾の後で『プッ』『クスッ』みたいなニューアンスで千佳が……
「あんた、今笑ったでしょ」
『いいのかな? 今の僕にそんなこと言って。
このお姉ちゃん思いの優しい妹が、今必死で勝利目指して時間と戦ってるお姉ちゃんのために届けてあげようと思ったのに。……でも、そうだね。ただでとは言わない』
「じゃあ、苺クレープ。それならいいでしょ」と、僕はそう言ったけれど……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます