第六回 ところで、何やらかしたの?


 ――必然と、それが第一声になった。警官も引き連れてだから。



 答える。そして答える。それは迷ったからだと。……来るか来ないかではなく、本気で道に迷ったから、警察署を訪ねたという始末。最初は……まあ、その風貌から色々と聴かれたそうだけど、どうにか道案内もしてもらえたから今、僕の目の当たりにいる。


 本当に、


「人騒がせな子ね。警官が善一ぜんいちさんだから良かったけど」


「まあまあ、そんなに怒らないで梨花りかちゃん。この通り、この子も無事に来たことだだから。仲直り、仲直りだよ。この子も東の都から越してきたばかりって言ってたし、この辺のこと、あまり詳しくなかったんじゃないかな……」


 善一さんのフルネームは、星野ほしの善一。僕の遠い親戚だそうで面識はある。それよりも蘇る記憶……僕を誤認補導したことがあった。「それでもって、怖くてビービー泣いちゃったんだよね」と、せっちゃんは付け加える。――本当に調子いい子なんだから。


「せっちゃんも道に迷って、迷子になって、ビービー泣いちゃったんだよね?」


 すると、どお? 忽ち顔が真っ赤……


「いいじゃない、来れたんだから」と、やっぱり図星。察するところ、警察署の前で大泣きしていたことが想像できる。……ったく、方向音痴は相変わらずね。


 と、いうことで僕は、


「はいはい、無事に来てくれて安心しました」


「心がこもってない!」


「こもってるよ。僕はせっちゃんのために『マンダム』の限定版を入手する最短ルートを検索してたんだから、スマホで。今から頑張って五軒回れば、まだ間に合うから」


「そんなの楽勝じゃん。先着三十名もあるんだから」


「甘いよ、せっちゃん。『マンダム』って連邦政府が誇るほど、プレミアがつくほど、MSの中では爆発的な人気を誇るんだから、在庫なんてすぐなくなっちゃうんだよ」



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