第四回 少女が運ぶ、イベントたる物語。
――その少女の名は、
それは何か? ……でも、少しばかり誤解を解かなければならなくて、僕は自分がまだ晴れ着ということも忘れて、日々野摂……せっちゃんを、お部屋までご案内した。
勿論、僕のお部屋。
で、お部屋を見るなり見渡すなり、
「相変わらず『モケジョ』ね。やっぱ
と、満面な笑顔でのご感想。「ご満足?」「うん、大満足」と、綴りゆく……
そして『モケジョ』とは『模型マニアな女子』のこと。さらに、せっちゃんは「ずっとバンプラなのね。……で、どうなの? イベント、梨花もやるよね? 参加するよね?」
……そう、こんな感じの子だった。
押しの強い子。そんなイメージだ。すっかり誤解を解くどころではなくなって……不登校で転校した子。それは僕ではなく千佳だってことを。それ以前に、僕に双子の妹がいること自体、彼女は知らない。……でも、彼女の頭からは、すっかりそれが消えてしまっているようで。相変わらずせっかちだ。『せっちゃん』なだけに『せっかち』かも。
でも、彼女も『モケジョ』……
僕と同じバンプラ大好きな女の子。僕は、彼女と一緒にバンプラ制作に励んでいた。
――なら、
「また作ろっ、バンプラ」と唐突に、いや溢れんばかりの思い溢れて、心からの声が言葉となって今この時に出現した。Xマスにサンタさんから頂いたプレゼントを、ついに開封する時来たれりと胸躍る瞬間。そのプレゼントとは……バンプラ。百分の一スケール。
「ふ~ん、ネオングのプロトタイプね。どおりで百分の一スケールにしては、六十分の一スケール並みの大きさなのね。フレームから組み上げる奴か……手伝ってあげてもいいけど、そうね、イベントに参加して一緒に『スタンプラリー』してくれるなら」
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