第二回 思い描くこと、繋がりゆく物語。


 ――そう、夢の中でも、実は経験している事柄。



 経験とは……それが空想の中としても、見たり聞いたりしたことも含まれる。その記憶たちが創り上げた夢の世界。無意識のうちに想像も加えて物語として成立した。


 ――それが、この度の初夢と考えられる。



 水陸両用のピンクの自転車がトランスフォームする。そして僕の身体を覆って、パワードスーツのような仕様になる。武器も装備されていて……魚雷? ううん、きっとミサイルポット。メインの武器はマシンガン。空中から迫ってくる敵と戦うこととなる。


 まだ装備はある。フルアーマー仕様も可で、海を駆けるだけではなく、お空へと羽搏くことができる。背中から広がる白い翼。まるで天使のような趣……


 そして大きな爆音とともに、僕は目覚めた。


 すると、柔らかい感触?


 な、何と……妹の千佳ちかの唇が、僕の唇に重なっていた。


 察しの通り、同じベッドで眠っていたのだ。ビックリもしたけど、忽ち冷静に、「目覚めのチュー?」「うん、そんなとこ」と、言葉を交わしていた。


 そこはもうリアルな世界。もうすぐ馴染むとされる僕のお部屋。そして妹の千佳……僕に瓜二つ。ボブの黒髪、顔の感じも、……それに、やや子ぶりな胸の感じまでも。



「おやおや、本当に仲がいいのね」


 と、お祖母ちゃんが言うように、殆どの行動は、千佳と一緒。誰よりも分かり合える存在……僕と千佳は双子。そして一人称が『僕』というところまで同じ。それに至るプロセスは若干の違いがあるにしても、声質も似ている上に、結果は同じだ。


 ――でもこの後、千佳の知らなかった出来事が、

 僕の身に起きるのだ。それは僕の趣味であるプラモデルに纏わる出来事だった。



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