美少女との海は前屈みイベントの連発‼︎


「お待たせしました」 

「やっと来たわね!」


今日は海に行く日で、俺が待ち合わせの駅にやってくると、俺以外の全員が既に居て、遅刻してないのに遅刻した気分になる。それにまだ眠い。


さっそく駅のホームへ移動し、新幹線に乗って移動が始まった。


「そういえば、ピョコ蕎麦は大丈夫なんですか?」

「伊角さんの家に預けてあるわ」

「えっへん!」

「いや、世話するのは紬先輩の家族なので、紬先輩がドヤ顔する意味わからないんですけど」

「本当、副会長はムカつく男ですね」 

「会長様〜、紬先輩に悪口言われました〜」

「伊角さん」

「は、はい」

「海は深いわよ」

「も‥‥‥申し訳ありません会長!ですが副会長が」


あとは桜橋先輩に任せよう。てか、桃と美山はさっきから何食べてるんだ?


「双葉さん双葉さん」 

「ん?」

「移動中、みんなで食べようと思って、いっぱいお菓子持ってきました」

「おっ。いいね」

「文月くんも食べなよ!美味しいよ!」 

「んじゃ貰おうかな」

「どうぞ」

「ありがとう!」


昆布‥‥‥


「海をイメージしました。遠慮しないで食べてください」

「あ、うん」


美味いけど昆布って、もっと他にあっただろうに。


それからみんなでババ抜きをしながら目的地を目指し、気づいた時には寝ていて、目を覚ますと美山が俺の脚に跨って俺の寝顔を見つめていた。


「なんだ⁉︎」

「おはよ♡」

「お、おはよう」

「みんな寝ちゃったよ♡」

「俺になにかした?」

「なーんにも♡」


俺は信じないぞ‼︎数ヶ月後に『妊娠しちゃった♡文月くんの子だよ♡』とか言ってくるに決まってる‼︎


「あ、着いたみたい!みんな起こそ!」

「お、おう」


みんなを起こして新幹線を降り、二台のタクシーに分かれてまた移動が始まり、しばらくして周りに店がない、旅館にしては小さめの建物と、誰もいない綺麗な海に到着した。


「きれーい!」

「夏休み中なのに誰もいませんね」

「そりゃそうよ。岡村さん、説明して?」

「はい。この海は我が岡村家のプライベートビーチです」

「え」

「そして、あそこに見える建物は別荘です」

「マジかよ‥‥‥」


旅館にしては小さいと思ったけど、家ならデカいわ‼︎


「一度別荘に荷物を置きましょう」

「そうだな」


いざ、桃の別荘に入ると、内装も金持ちそのもので、自分の存在がちっぽけに感じてしまう。


「お部屋は人数分あるので、自由に選んで使ってください」

「分かった!」

「ありがとうね、岡村さん」

「いえ、会長は是非、海の見えるお部屋で」

「そんなに良いお部屋は双葉くんに使わせてあげて?」

「俺でいいんですか?」

「もちろん」

「桃、案内してくれ!」

「はい」


みんなで二階にやってくると、客室のドアがずらっと並んでいて、室内も俺の部屋より広い。


「それじゃ私は文月くんの隣!」

「さっそく水着に着替えて海集合でいいかしら」

「はい!」


四人の水着姿に期待が高まる中、俺は急いで水着に着替え、持ってきたサンダルを履いて海に出た。


「綺麗だな‥‥‥えっ」


白い水着を着た桃が、腰に浮き輪をセットして海に走って行き、水に足をつけてすぐに戻ってきた。

桃って脱ぐと‥‥‥意外と‥‥‥デカい‼︎


「クラゲに刺されました」

「10秒で感情ぐちゃぐちゃだわ!酢塗ってこい!」

「はい」


桃はまた走って別荘に戻って行き、刺されたのは可哀想だけど、桃はワクワクしたりしないと走ったりしない。

今、すげー楽しいんだろうな。


「文月くーん!」

「お、お、おー」

「なにその反応!どう?似合う?」

「めっちゃ似合う」 

「やった!」


美山はピンクに白い花柄が可愛い水着を着ていて、ダメだと分かっていても、谷間に目が‼︎


「副会長‼︎そんなに杏奈ちゃんの谷間見ないでください‼︎」


紬先輩は薄黄色の水着。なんかちょっと子供っぽい。


「み、見てないしー!てか紬先輩、脱ぐと思ったより貧相ですね」

「‥‥‥は?」

「文月くん?どうして私以外の胸とか見るの?ねぇ、どうして?」

「ち、違うぞ美山!よく見ろ!こんなの胸って言っていいのか⁉︎」

「は?」

「確かに!あれならいいや!」

「は?」

「わーい」


クラゲに刺された桃は、戻って来て懲りずに海に飛び込んでいった。


「また刺されるぞー!」

「たまたまいただけで、この海はクラゲが少ないので大丈夫ですー」

「そうなのか」

「私達も泳ご!」

「桜橋先輩は?」

「まだ着替えてると思う」

「みんな揃ってからにしようぜ」

「桃ちゃんは入っちゃってますけど」

「桃はいいですよ。この海の持ち主だし」

「我慢できないー!」

「私もー!」


結局二人も海に飛び込み、浮き輪で浮いている桃に水をかけたりしながら遊び始めてしまった。

実に良い光景だ。


「お待たせ」

「やっと来ましたか‥‥‥」


黒のエッロい水着‼︎出るとこ出てて、引っ込むところは引っ込んでる無駄のないパーフェクトボディー‼︎明るい場所で見ると、とんでもないな‼︎


「日焼け止め塗ってくれる?」

「は、はい!」


日焼け止めイベントキタ〜‼︎‼︎‼︎


桜橋先輩は上半身の水着を外し、ブルーシートに寝そべった。


「し、失礼します!」

「全身お願いね」

「はい‼︎」


綺麗な肌だ‥‥‥すべすべでハリもあって‥‥‥いっそ抱きついてしまいたくなる‼︎


「お、お尻もよ」

「お尻も⁉︎」

「水着に手を入れて、軽くで構わないわ」

「は、はい‥‥‥」

「んぁ♡」

「変な声出さないでくれます⁉︎」

「出させないで」

「そんな無茶な‼︎てか、美山が凄い形相でこっち来ようとしてますけど」

「伊角さんがいるから大丈夫よ」

「本当だ」


何故か紬先輩は、美山が俺達に近付かないよに必死で止めている。


「沈みたくなければって脅したのよ」

「最低ですね」

「でも、双葉くんだって私の体に触れられて嬉しい‥‥‥でしょ?」

「‥‥‥まぁ」

「次は前」

「水着つけてくださいね⁉︎」

「分かってるわよ」


桜橋先輩が起き上がって水着をつけている時、桃はぷかぷかと浮きながら、首にぶら下げた双眼鏡で桜橋先輩の胸をガン見している‥‥‥羨まけしからん‼︎‼︎‼︎


「はい!お願い!」

「顔真っ赤ですよ」

「う、うるさいわね!暑いからよ!」

「んじゃお腹から失礼します。前に関しては、水着の中は自分でやってくださいね」

「う、うん。脇の下もして」

「は、はい」


もう海とかどうでもいいから、桜橋先輩とずっとこうしていたい‼︎


「いやっ♡」

「ごめんなさい!」

「くすぐったい♡」

「脇の下も自分でしてください!」

「もっとして♡」

「剃り残しありますよ」

「嘘‼︎いや‼︎」

「冗談です」

「‥‥‥」

「下、ハミ毛してます」

「そんなわけないでしょ。今日のためにツルツルよ」

「わーお」

「ごめんなさいは?」

「ごめんなさい」

「よしよし!」

「こ、子供扱いしないでくださいよ!俺はもう行きますからね!」


理性が崩壊する前に三人の元へ行くと、美山は顔以外砂に埋められて大人しくさせられていた。


「文月くん、私にも日焼け止め塗って」

「塗れないだろ」

「あらー?」

「んぐっ!」

「美山さんはどこかしら」

「わざと座らないでー!」


桜橋先輩は美山の顔に座り、わざと周りを見渡した。


この二人、またライバルになったのね‥‥‥仲が良い分、前よりはいいけど。


「お尻どけて!」

「落ち着け美山!これはご褒美だぞ!」

「んじゃ文月くんが座って!」

「できるか‼︎」

「大変です!桃ちゃんが!」

「え?」


海を見ると浮き輪だけが浮いていて、桃の姿がなかった。


「伊角さんはタオルと水を持ってきて」

「はい!」

「桃ちゃんがどうしたの⁉︎」

「双葉くんは美山さんと居なさい」

「は、はい」


桜橋先輩は海へ走り、そのまま海へ潜っていった。

だが、先に海から出てきたのは桃だった。


「見てください、生きてる貝です」

「桜橋先輩は?」

「海の中泳いでました」

「え?」

「双葉くんも探し‥‥‥」

「桃なら無事ですよ」

「‥‥‥」


浮き輪を持って陸に戻ってきた桜橋先輩は、明らかに怒っていた‥‥‥


「心配かけるのはやめなさい」

「え?貝‥‥‥」

「もういいわ、私は休憩」

「座るなー!」

「持ってきました!あれ?桃ちゃん」

「貝を捕まえていただけみたいよ?タオルを貸して」

「はい!」

「桃って泳げるんだな」

「はい、来てください」

「え」


桃に手を引かれ、そのまま海に潜ると、小さな魚達が沢山いて、初めての経験に俺のテンションは最高潮になっていた。


「ぶは!凄すぎ!」

「双葉さんに見せたかったんです」

「ありがとうな!桃は毎年見てるのか?」

「去年は来れなかったですが、なるべく一年に一回は」

「いいなー。てか、美山の股間あたりにデカい砂の棒立てられてるんだけど」

「会長も伊角先輩も高校生ですから、ああいうのが好きな年頃です」

「なるほど‥‥‥」

「双葉さんも会長に日焼け止め塗ってる時、ああなってましたよ」

「‥‥‥もしかして、見てたのって会長の胸じゃなく‥‥‥」

「チコです」

「い、いいか⁉︎誰にも言うなよ!特に桜橋先輩はダメだ。調子に乗るからな」

「言わない代わりに」

「桜橋先輩の胸か?」

「会長と一緒にお風呂に入りたいです」

「分かった。なんとかしてやる」

「さすがです」

「副会長〜!」

「なんですかー?」

「バーベキューしましょー!」

「行こうぜ!」

「はい!」


陸に上がると、桜橋先輩と紬先輩が水着姿のままでバーベキューの準備をしていて、美山は相変わらず雑に扱われていた。


「大丈夫か美山」

「顔だけ日焼けしちゃうー!」

「んじゃ、顔だけ日焼け止め塗ってやるから」

「出してよ!」

「カニさんいましたよ」


桃は小さなカニを捕まえて、美山の鼻を挟ませようとカニを鼻に近づけた。


「も、桃ちゃん⁉︎やめて⁉︎」

「これは修行です」

「なんの⁉︎いったーい‼︎‼︎‼︎」


可哀想だし出してやるか‥‥‥


それから、桜橋先輩と紬先輩が持ってきた肉で五人揃ってバーベキューを始めたが、桜橋先輩と美山は焼いた肉を次から次へと俺の皿に乗せてくる。


「も、もう大丈夫」

「あら本当?それじゃ私も食べようかしら」

「私も食べる!」


肉の山‥‥‥愛が重い‥‥‥


盛られた肉をひたすら食べ、美山が日焼け止めを塗り直すと言って一度別荘に戻った時、桜橋先輩は胸を押し付けるように俺の腕に抱きついた。


「ななな、なーんですか⁉︎」

「美山さんの顔に座った時、ご褒美って言ってたわよね。今日の夜、寝ずにお部屋で待ってて」


桜橋先輩は耳に口を近づけて小さな声でそう言った。


「‥‥‥」

「双葉さん、なぜ前屈みに?」

「な、なんでもない‼︎」

「副会長?」

「なんでもないですって‼︎」

「ふふっ♡」

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