美少女のパンツなら何色でもいい


動物園デートから1日が経ち、帰る途中にあんなことを言われたせいで、桜橋先輩に会うのが気まずい。

でも、熊の等身大フィギュアを見に来てってメッセージ届いてたし、桜橋先輩はあまり気にしていないのかもしれない。


そして、平常心を装って生徒会室に入ると、桜橋先輩の席の後ろに、堂々と熊の等身大フィギュアが飾らせていた。


「どうかしら!」

「迫力凄いですね!」

「さすが高いだけあるわよね!」

「普通、学生が買えるものじゃないですからね」

「それとね、じゃーん!」

「昨日のウサギ⁉︎」


桜橋先輩は昨日写真に撮っていた白くて可愛いウサギを机の下から抱き抱えて見せた。


「あの後電話したら買わせてくれることになってね!」

「すげー!名前はなんですか?」

「ピョコ蕎麦!」

「蕎麦?」

「私の好きな食べ物が蕎麦だからよ!」

「ウサギ関係ないし。てか、ケージに入れてあげないとストレス溜まりますよ」

「さっきまで入れてたのよ?私の机の下にあるから、取って隅に置いてくれる?」

「分かりました」


サプライズのために隠してたのか。


机の下に潜り込んで、大きなケージを引っ張り出そうとした時、俺の頭に良くない考えが浮かんだ。


このまま振り向けば、高さ的に丁度、座る桜橋先輩のスカート‼︎下着が見える‼︎


「け、結局重いですね」 

「頑張って?」

「ちょっと脚が邪魔です」 

「これでいいかしら」 


開いた‼︎今だ‼︎青‼︎エッチ‼︎


「ピンクの方が好き?」

「‥‥‥青も結構好きです」

「嬉しいわ!」


バレた‼︎気まずっ‼︎‼︎‼︎てか、桜橋先輩ぐらい美人なら、何色でも見たいけどね‼︎


それ以上なにも言わずにさっさとケージを引っ張り出し、生徒会室の隅に接した。


「はい!ここで大人しくしててね!」

「あ、その前に少し触りたいです」

「いいわよ!ピョコ蕎麦は生徒会全員のペットだもの!」

「ありがとうございます!うぁ〜、もふもふで気持ちいいですね。美山はもう触りました?」 

「双葉くんが来る前に触っていったわよ!」

「そうですか」


やっぱり桜橋先輩はいつもと変わらない。それが何故か、逆に切なくも感じてしまう。


「それじゃ、俺は教室に行きますね」

「また放課後!」

「はい」


去り際、一瞬だけど、桜橋先輩の顔が悲しそうに見えた気がした。

きっと気のせいだと思いながら教室にやってくると、すぐに桃に制服をクイクイッと引っ張られて廊下に出された。


「どうした?」

「相談があるんです。放課後、図書室に来てくれませんか?」

「別にいいけど」

「ありがとうございます」


桃が俺に相談?珍しいな。


それから桃はいつものように、他の生徒に話しかけられまくりで、なんだか遠い人になってしまったような感じがする。


そして時間も経ち、午前の授業を終えて昼休みになると、美山と割り勘で大盛りの塩ラーメンを注文し、小皿を貰って仲良く同じラーメンを食べ始めた。


「やっぱり塩だよね!」

「味噌だろ」

「え!んじゃ、味噌にしてよかったのに!」

「塩も好きだから大丈夫だ。美味いな!」

「うん!そういえばね、会長のせいでベッドがぬいぐるみだらけになっちゃってさ!」

「動物の?」

「うん!寝る場所狭くなって困ってるんだよね」

「抱きついて寝ればいいだろ」

「それはいつもだよ。寝る前は『抱きついて寝るとか、そんな子供みたいなことしないわよ』とか言うくせに、寝るといつの間にか抱きついてきて離れないの。しかも裸で」

「んっげほっごほっ!」

「大丈夫⁉︎」

「は、裸⁉︎」

「最近、裸で寝るのが気持ちいいってことに気づいて、一緒に裸で寝てるの」


美山と桜橋先輩が裸で抱き合ってんの⁉︎なんだよそれ‼︎世界遺産より見たいものナンバーワンなんだけど‼︎


「か、風邪ひかないようにな」

「優しいね!ありがとう!」

「どういたしまして」


興奮したことを隠しながら体の心配をする紳士アピール、完璧だな。


「あっ、今日の放課後なんだけど、桃が相談あるらしくて、生徒会室行くの遅れるわ」

「会長に伝えておくね!」

「頼んだ。あとさ‥‥‥」

「どうしたの?」

「桜橋先輩、なんか言ってなかったか?」

「文月くんのこと?」

「おう」

「なにも言ってなかったよ?なにかあったの?」

「い、いや、なんでもない」


美山に不思議そうな顔をされたが、ラーメンも全部食べ終えて解散し、眠くなりながらも授業を頑張り抜いて、やっと放課後になった。


帰りの会が終わると同時に早歩きで教室を出て行く桃の後ろを無言で付いて行き、図書館に入った時


「よっ」

「わっ!」

「桃がビックリするところ初めて見たかも」

「誰かに見られたらどうするんですか」

「え?怒った?」

「怒ってません。座って、さっそく話聞いてもらっていいですか?」

「了解」


誰もいない図書館で、桃は目を合わせずに話し始めた。


「5月から一年生の部活が始まるんですけど、オカルト部への入部希望が凄く多いんです」

「みたいだな」

「双葉さんは知ってるかもしれませんが、私はあまり人が好きじゃありません。双葉さんとかならまだしも、知らない一年生が沢山入部するのは嫌なんです。部長としてまとめられる気もしません」

「んじゃ断れば?」


てか、人が嫌いなのに人間観察が好きってのもおかしな話だな。


「誰も入部させなかったら、文句言われたりしませんか?」

「そしたら俺がなんとかするよ。桃には色々助けられたし」

「そんなことされたら、す、好きになりますよ?」

「変な冗談言うな。嫌なら一人でやればいいよ。これで解決か?」

「はい。ありがとうございます。勇気もらえました」

「それじゃー、俺の相談も聞いてもらっていいか?」

「双葉さんの相談?もちろんいいですよ」


なんか相談しにくいけど、桃ぐらいしか相談できる相手いないしな。


「俺と美山と桜橋先輩の関係は知ってるよな」

「三角関係ですよね」

「そうだ。三角関係」


なんか自分で言ってて恥ずかしいわ。


「それで、二人には告白の返事を長い間、現在進行形で待ってもらってるんだけど、桜橋先輩がなんの前触れもなく、美山を選んでって言ってきたんだ。どういうことだと思う?」

「押してダメなら引いてみろをやってるんじゃないですか?」

「いや、今更そんな器用なことしないと思う」

「でも双葉さん、実際気になっちゃってるじゃないですか」

「だ、だけどさ!美山も前と比べてグイグイこなくなったと言うか」

「押してダメなら引いてみろじゃないなら、返事を待たせすぎて、他に好きな人ができたとかですかね」

「二人とも⁉︎」

「二人ともです」

「なら、桃は女だし、女同士の恋話で話し聞き出してくれよ」

「報酬は」 

「おっぱい」

「分かりました。来月の初めまでにはなんとか聞き出します」

「よし。頼んだぞ」

「なんか楽しそうなこと話してんじゃん」

「鈴穂⁉︎居たのか⁉︎」

「最初からね」


鈴穂は本棚の裏から出てきて、悪いことでも企んでいるかのようにニヤニヤしている。


「私も桃先輩と一緒に恋話に混ざるよ」

「私はいいですよ」

「んじゃ決定!」


この流れ、本当に大丈夫か‥‥‥?

鈴穂とは仲直りしたけど、別に信用してるわけじゃないし、でも、桃がいれば大丈夫か。


「それじゃ二人で作戦会議しよ!」

「はい」

「俺は?」

「女同士の恋話の作戦会議だよ?男は立ち入り禁止」

「俺の話なのに⁉︎」

「当たり前でしょ?早く出ていって」

「そんなのあんまりだ!不安でしかないわ!」

「出てけって言ってんの」

「は、はい」


なんで女の後輩に怯えなきゃいけないんだよ‼︎

ただ、成功すれば文句は言わない!頼んだぞ‼︎

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