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「そら! 治療したぞゴミカス野郎!」
朝日が昇り始めた頃合、乱暴な怒声とは裏腹、首の据わらぬ赤子を扱うに等しい所作で手渡された、刃紋揺らめくフランベルジュ。
昨晩、仕事を終えた後、ほぼ完徹にて打ち直した模様。
「若干重くなったな」
「端材を貰い受けて繋ぎと表面コーティングに使ったんだ! どこぞのDV魔人が馬鹿力で振り回しても死なないようにな!」
ザ・ヒステリック。
つーか力任せに扱って壊した、みたいな言い草は勘弁。
最小限まで負荷を散らして尚、ちょいと『豪血』を使った瞬間ぽっきり折れたんだ。
要は根本的な強度不足。樹鉄刀のように『鉄血』を適用させた硬化も能わんし。
「ふーん」
そんな反論の悉くを飲み込み、小洒落た鞘から刃を抜く。
良い仕上がりだ。
これなら、縦しんば渾身を篭めても、一刀くらいは保つかも知れん。
「…………次、拙の子を殺したら……末代まで、祟ってやる……ッ!!」
ひえー。
怒り心頭な果心を当て身で気絶させ、近くの仮眠室へと押し込み、事なきを得て暫し。
瞼を擦り、起きて来たリゼが、よたよたと俺の懐に収まった。
「眠いのよ」
「じゃあ寝てろよ」
「お腹すいたのよ」
ぐりぐり頭を押し付け、自己主張。
分かった分かった。朝飯を用意してやるから、少し待て。
「……ああ、そうだリゼ。後で臨月呪母と
「んー?」
折角だし果心に手入れを頼もう。なんならヒルダの石剣と五十鈴の銃も。
ほぼ鉄砲みたいな奇剣も作ってたし、多分いけるだろ。
分岐点の訪れまで──あと、一日。
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