653・閑話37
──嘗て。自身の生まれた世界を喰らい尽くしたバケモノが居た。
──それだけでは飽き足らず、バケモノは数多の世界を腹に収め、己が糧とした。
──三千世界を一片残らず平らげるまで、バケモノは止まらない。
──決して癒せぬ飢えを、満たすために。
──世界を移る度、バケモノは新たな餌場に種を撒き、育み、そして刈り取る。
──それは謂わば牧畜であり、農業であり、鏖殺である。
──バケモノは待っている。
──この世界の支配者を気取る家畜達がダンジョンと呼ぶ、既に芽吹いた種の結実を。
──バケモノは待っている。
──世界を飾り、装うに足る、蒼い器の完成を。
──バケモノは待っている。
──この世界が食卓へと並ぶ、饗宴の日を。
──引鉄に、指先を這わせながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます