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豪血。
「ハハハハハッ! あっぶねぇ真似しやがるなオイ!」
吐炎の瞬間に上方へ跳び、射線誘導。
高い建築物が近くに無かったため、延焼などの目立つ被害は避けられた。
「炎の
手足が塞がった状態でも繰り出せるブレス系。
予備動作を見切られ難く、近・中距離戦闘型のアタッカーなら大抵のバトルスタイルに無理なく組み込めるため、サブウェポンとして人気の高い系統。
実際、自分達のダンジョンアタック風景を公開し、広告料などを得ているSチューバー達が並べる記録動画なんかでも、そこそこ目にする機会があった代物。
されど、ここまでの練度は全くの初見。
コンボの合間に差し挟まず、キッチリ溜めを経たならば、フォーマルハウトのブリザード・ブレスにも比肩しよう威力上限が窺える。
難度八以上と嘯いたu-aの言葉も、満更リップサービスじゃなかったワケだ。
「ン」
宙空に退いた俺を狙い、押し寄せる飛び道具の数々。
ナイフ、手裏剣、爆薬、鉄球、毒針、銃弾、ミサイル、卓袱台、膳、湯呑み。
「なにゆえ湯呑み」
バリエーションに富み過ぎてて大爆笑。閉店セールか。
「――『深度・弐』――」
深化。過剰な反応速度と思考速度が齎す、体感時間の伸長。
驟雨が如く迫り来る攻撃を躱し、跳ぶ間際に拝借した刀剣で打ち払い、或いは素手で掴み取る。
湯呑みだけ確保。ミサイルに腰掛け、ティーブレイク。
「玉露か。俺ァ番茶の方が好きなんだが」
弾頭部の信管をブチ壊し、不発弾へと変えた後、適当な方に蹴り飛ばす。
…………。
つかアレだな。周りに気を遣いながら戦うとか、死ぬほど煩わしいな。
折角、面白くなり始めた盤面が、いちいち白ける。
「騒ぎをデカくすりゃ、後々ダルいと思ったが」
相手は結構な上玉。
樹鉄刀も女隷も無しで手早く終わらすのは骨を折りそうだし、そもそも勿体ない。
「周囲一帯、更地にしちまえば、なあなあで丸く収まるよな」
縦しんば収まらずとも、その時は力尽くで丸くすればいい。
護衛対象達との距離も、多少は離れた。
――よし。
「滅ぼすか」
ブンドドの時間だ。
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