509・閑話24
世界各所で巨大隕石を滅した、メディア曰くの立役者達。
藤堂月彦。
榊原リゼ。
ヒルデガルド・アインホルン。
五十鈴硝子。
シンゲン。
ハガネ。
彼等彼女等含む十三人は、フェリパ・フェレスに続く最新の英雄と讃えられ、複数国家を挙げての大々的な表彰を執り行う運びとなった。
無関心か、或いは面倒を嫌ってか、用意された席に現れなかった者も幾名か居たけれど。
また、各者の栄光を後世に刻まんとする動きの一環か、彼等彼女等、延いては、それぞれが隕石落としに用いた得物を総じ『十三の牙』と呼称。
最初はSNSから発祥した出所不明の命名に過ぎなかったが、括るに際し響きが良かったのか、瞬く間、世に浸透した。
尚そのネーミングに「安直だな。勝手に異名とか付けるなら、もっと捻れや」と当事者の一部より苦言が呈されたのは、知る人ぞ知る話。
声高に叫ばれるのは、必ずしも賛辞ばかりではなかった。
個人が持ち、自らの意思のみで振るうには、あまりに突き抜けた力。
にも拘らず、十三人の約半数がフリーランスという、危う過ぎる現状。
彼等に対し、帰属する国の厳正な管理を望む世論は、少しずつ大きくなっている。
……核弾頭に手足と脳髄が生えたに等しい、法だの権力だので囲える範疇など遥か飛び越えた暴力を、社会が御せるかどうかは兎も角。
「ふざけんな。あらゆる国を滅ぼしてやろうか」
「そうだそうだ! 僕達を飼おうだなんて一千万年早い! 見せしめにユーラシア大陸を消し飛ばしちゃうぞ!」
「やめなさいよねアンタ達。ポストアポカリプスに突入したら、菓子類が希少品になるでしょ」
「「ぐぬぬ」」
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