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 カートゥーンかってくらい撃たれた。


 まあ現段階のフィジカルだったら、素でも拳銃の弾くらい掴めるんだが。

 そもそも何発食らったところで、鼻血ひとつ出やしない。


「安物なら尚更。なんだこれ、百均で買ったのか?」


 バラしたパーツを踏み潰す。

 噛み合わせのガタついた粗悪品。消音器に至っては手製。

 下手すりゃワンマグ撃ち尽くす前にフレームがイカレそうな塩梅。


「日本は入国検査厳しいし、職員への賄賂も殆ど意味無いからね。未登録の銃を持ち込めただけでも、割と凄いんじゃないかな」


 積み上げた不審者達を椅子代わりとしたヒルダの言。

 行儀悪いぞ。俺も時々やるけど。






「豪血」


 動脈に赤光を灯す。


 身体能力と併せ、研ぎ上がる五感。

 軽く十数倍、範囲を広げた完全索敵領域内の全情報が、脳髄を駆け巡る。


「捕捉。半径一キロ圏内に十七人、それらしき輩共の点在を確認」


 呟いた俺に、ヒルダの如何ともし難い視線が向く。

 なんじゃらほい。


「肉体強化の副産物だけで、よくそこまで精度の高い探知が出来るね」


 当然だろ。

 視えて、聴こえて、嗅げて、感じるんだから。


「……専門系統のスキルユーザーに、いっそ憐れみすら覚えるよ」


 知るか。

 良いスキルを引けなかった不運、若しくは己の練度不足でも呪っとけ。


「手伝おうか? あちこち散らばってるんだろう?」

「無用」


 ライブ開始まで二十分少々。

 掃いて捨てた後、サ店で一服入れても釣りが来る。


「ここは俺に任せて先に行け」

「強引に死亡フラグを打ち立てても、キミの命を脅かすほどの強敵なんか、そうそう現れないと思うけど」


 くそったれ。

 儘ならん世の中だ。





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