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小比類巻御夫妻に渡りを付けて貰い、つむぎちゃんが通う中学の理事長殿と接触。
中止濃厚だった演奏会の代役にu-a達を捩じ込む提案は、想像してた百倍くらい手放しで歓迎された。
「全く大した人気だよ、シン……シンデレラ・クロケッツ」
「シンギュラリティ・ガールズです」
それな。
いやはや。一体、何がそこまでの熱を生むのやら。
音楽自体あまり聴かない俺には、理解しかねる。
「ここで演るのか。たかだか学校の敷地内に一端なものを建てたもんだ」
使っていない時期は、市のイベント会場などに貸し出してるらしい。
「席数は一階二階合わせて千五百ほどでしょうか。後楽園ホールと同じくらいですね」
メディア露出時とは趣の異なる衣服や髪型で雰囲気を変えたu-aが、サングラス越しに視線を巡らす。
「音響効果に主眼を置いた構造。機材の程度も上々。些か狭い点を除けば、概ね及第点かと」
「立ち見まで含めりゃ二千人は入れる代物を狭いと抜かすか」
まあ確かに、甘木くんと行った時のライブ会場は、この何倍も広かったが。
「……軽く機器のチューニングをやっておきたいので、今から三曲ほど歌います」
「さいで。んじゃ俺はコーヒー買って来るわ」
気だるく踵を返す。
背中越し、舌打ちされた。気がした。
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