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樹鉄刀を果心に託し、はや十日。
武器が戻るまで七以上の高難度は駄目だとリゼから禁止令を受け、ならばと難度六ダンジョンを跨ぐこと四つ。
「退屈だ」
アタックを終える都度に挟まなければならない四十八時間のインターバルが、ここに来て物凄く鬱陶しい。
とは言え、こちとら探索者支援協会に帰属し、様々な便宜を図って頂いてる身。
最低限、ルールは守らねば。
……しかし。
「退屈だぞリゼぇぇぇぇ」
「なんなの」
各所にて最も危険とされる階層、及びダンジョンボスのみを味わう。
そんな、空間転移あればこその贅沢な楽しみ方に明け暮れた十日間。
が――飽きた。難度六、飽きた。
「虚しい」
「いいから下ろしなさいよ」
高い高ーい。
全五十階層にて構成される難度六ダンジョン。
その最奥に坐すダンジョンボスは、半ば深層クラスに足を踏み込んだツワモノ揃い。
けれど所詮、半ば。
加えて、どいつもこいつも定期的に討伐を繰り返され、慢性的な弱体化状態。
そんな奴等と一戦交えたところで、消化不良も甚だしい。
戦えば戦うほど、飢えも渇きも募る一方。
「やっぱヒルダをブッ殺しに行くべきか」
「アンタ実はヒルデガルドのこと嫌いだったりする?」
まさか。どちらかと言えば好きだ。
ボーイッシュだし、尻デカいし。
「てか
「ルールに縛られてちゃ、先駆者にはなれねぇ」
一拍置き、大きく溜息を吐かれた。
解せぬ。
「……刺激が欲しい。火ぃ点けた爆竹を脳味噌に突っ込んだくらいの刺激が」
「思いっきり死ぬわよね、それ」
呆れた風に肩をすくめたリゼが俺の隣に腰掛け、寄り添ってくる。
なんとはなし髪を撫ぜると、払い除けられた。
「触るなら手袋外して」
それ嫌いなのよ、と続いた台詞。
女怪由来の素材をふんだんに使った、俺専用の特注品なんだがな。
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