451・Rize
総じて秀でた美貌を持つ、と言うか秀でた美貌を持つ種が半自動的にカテゴライズされる女性型クリーチャー。
そんな化生達が名刺代わりに扱う魔法こそ『
本来であれば術者に抱いた情欲を何百倍にも増幅させ、対象を意のまま操るもの。
盤面次第じゃ食らった時点で詰み確定な、防御不可能に等しい悪辣極まるチカラ。
――けど月彦の場合、少し違う。
異質な精神構造の所為なのか、アイツが『
でも効果自体は及ぶ。思考も理性も掻き消えるほど。
そして――残された凶暴性が、強く浮き彫りになる。
無惨に裂かれた、ズタズタの衣服。
原形を失くした、バラバラの骨肉。
まるで猛獣の食事跡。
「ぅるるるる……」
女性型クリーチャーは、例えば甲府迷宮のイライザがそうだったように、シンプルな戦闘能力に於いても同階層帯内で頭ひとつ抜けているケースが大半。
実際レイチェルも、過去に十人の中堅
――それが単なる餌扱い。
しかも精彩を欠いた、まともにモノすら考えられない状態で。
「ああァァァァッッ!!」
咆哮。裏拳。間合いにあった壁が、辛うじて生きていたレイチェル共々、弾け飛ぶ。
「ハハハハハハハハハッ!」
術者が死んでも『
そして解けるまでの間、月彦は目についた動くものと動かないものを手当たり次第に襲い続ける。
青木ヶ原天獄攻略の際、似た状況になった時は危うくヒルデガルドが刺されかけた。
あの状態に入られると気付けネコパンチじゃ戻せなくなるから、すごく面倒。
「ふうぅぅ」
あ。こっち来た。
「なに?」
「ぅるるる」
わしゃわしゃ頭を撫でられる。
もっと丁寧に扱いなさいよ。セット乱れるでしょ。
「――ああァァァァァァァァッッ!!」
再度、咆哮。
クリーチャーの気配でも嗅ぎ付けたのか、床が割れる勢いで走り去って行く。
…………。
あんなザマでも私にだけは絶対攻撃しないのよね、アイツ。
「ふふん」
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