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気の向くまま寄り道を交えつつ、目的地の病棟五階に到着。
いやはや、割と長い道のりで御座いました。
「三階で十二体のゴッドハンドから一斉にロケットパンチ撃たれた時は、流石に死ぬかと思った」
笑い過ぎで。変にツボって腹よじれかけた。
あんなシュール極まる光景、そうそう御目にかかれるもんじゃない。
「アトラクションとしちゃ及第点だよなァ?」
「レビュー星二つ、てトコね」
チョコバーの代わりに献上した生キャラメルを口の中で転がしつつ指を立てるリゼ。
手厳しいぜ、センセー。
「お。居た居た」
此方に背を向け、ふらふらと安定しない足取りで歩く影。
「ヘイ、そこのレディ! 暇なら遊ぼうぜ!」
「ナンパが雑過ぎ」
黙らっしゃい。
〈……ウアァ?〉
見返り美人の構図で振り返る、此度の標的。
肉体に何らかの損傷を抱えた種が大多数を占める
やたら攻めたデザインの、本職が見たら名誉毀損で訴訟を起こしかねないナース服を纏った、男好きする扇状的な肢体。
…………。
「月ひ……あぁ、もう」
鬱血で赤黒く染まった強膜の中に浮かぶ、毒のような紫色の瞳と視線が重なる。
途端に霞み行く思考。胸中で鎌首をもたげる衝動。
頭よりも、精神よりも、魂よりも、何よりも深い部分へと爪を立てられ、揺さぶられる感覚。
「ぅるるるるるる」
やべえ『
クソッタレが。聞いてねぇぞ果心。
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