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四色全て引っ張り出した『双血』並びに『呪縛式・理世』を解く。
やや挙動が怪しかったものの、籠手の形に収まる樹鉄刀。
同時。一リットルか二リットルばかり、血を吐いた。
失血死しそう。
「『錬血』使ってなきゃ召されてたな、実際」
ノリと勢いで敢行した四色並行の『深度・参』。
出力ふざけ過ぎ。十万分の一秒以内で抑えたのに身体どころか魂まで消し飛びかけたわ。
爆発オチなんてサイテー。バカウケ。
〔思い付きで反射的に動くからよ。いい加減、懲りなさい〕
唐突に現れた、安直な天使の格好をしたプチリゼが囁く。
悪魔はどこだと探したら、プチリゼの後ろでプチ俺が縛られてた。
せめて悪魔の格好くらいしろ。
ともあれ一理ある言い分。
検討しよう。検討した。
厳正な会議の結果、提案は却下された。
やめられない止まらない仕方ない。
〈ぐぅ……う……〉
「お。生きてる」
女隷も樹鉄刀も全損状態なのに。流石は俺、タフだな。
半死どころか九死、なんなら九十九死くらいの有様だけど。
いずれにせよ、火星あたりに放り込まれたゴキブリ並みの生命力。
誰がゴキブリじゃい、誰が。
「つっても時間の問題か」
恐らく、余命幾許も無いだろう。
「ヘイ兄弟。ちゃんと死に際の台詞は決めてあるか?」
何せ人生で一回きりのビッグイベント。ひとつパンチ効いたのを頼むぜ。
あ、でも俺が温めてるのを先に使うのは勘弁な。
時系列的に、こっちが二番煎じ扱いを受けちまう。
兎にも角にも、待つこと暫し。
〈……て、めぇ……なんで、だ……〉
「あァ?」
なんでって、何が。
主語を入れろ、主語を。
〈ふざけんな……ふざけんじゃ、ねぇ……!!〉
立った。俺二号が立った。
「えい」
〈がっっ〉
けど出来心で肩つついたら倒れた。
悪いの俺かな、これ。
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