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「最悪の脅迫行為を思い出しちまった」
背筋に寒気が。あんちくしょうめ、世にも恐ろしい真似を。
ネットリテラシーって概念を知らねぇのか。もし俺が、どこぞの誰かの連帯保証人にされたら、どう責任取る気だ。
くそ。相手がリゼ以外なら、叩きのめして仕舞いだったのに。
……尤もコレの完成には、アイツの協力が不可欠であった。
どの道、全て伝えておかねばオハナシにならなかった道理。
つまり俺は屈してない。はい論破。
〈そいつは――!!〉
女隷の背面を彩るカシマレイコの脊柱内に埋め込んだ、鉛筆ほどの金属棒。
先端こそ幾らか尖ってるものの、武器として役に立ちそうかと問われれば答えに窮する代物。
そもそも、そんな意図で用立てた品に非ず。
「起きろ『ヒルコ』。仕事の時間だ」
削り取った臨月呪母の欠片に、まるまる一回分の『呪胎告知』を篭めさせ、そのまま押し留めたアイテム。
極めて高い呪詛耐性を持つ女隷へと封じておかなければ、手当たり次第に周囲を害す、第一級の危険物。
「さて。上手く運ぶかな」
本来『呪胎告知』とは、得物の自壊と引き換えに強大な一撃を齎すスキル。
埒外な強度及び、長く媒体とし続けたことで呪詛を養分に損傷が回復する特性を備えた臨月呪母だからこそ、未だ形を保てているに過ぎない。
「ま。壊れちまったら、その時か」
ヒルコを樹鉄刀に突き立てる。
封を解かれた呪詛が、怨恨の呻きに似た音と共に、勢い良く流れ込んだ。
「ハハッハァ」
瞬く間どろりと溶けた、樹鉄と呪詛の混合物。
逃げ場でも求めるかのように、或いは餌を欲するかのように、俺へ這い寄り身体に咬みつく。
「ひとまず成功。悪くねェ塩梅だ」
赫夜と比し、より大きく、より刺々しいものとなったフォルム。
シルエットは人から獣に近付き、さながら人狼を想起させる。
「『縛式・纏刀赫夜』」
否。
「――改め」
最早、赫夜とは全くの別物。
指し示す名を与えるなら、そう。
「『
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