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むっかしーむっかしーうーらしーまはー、たーすけーた亀にーつーれらーれてー。
……何べん繰り返せど、この先が全く思い出せん。
て言うか多分、そもそも続き知らねぇ。
「悪いな。お前達まで付き合わせて」
「ふぁあ……いいわよ別に」
「どうせ暇だし」
前半後半に分かれ、総意を奏でるリゼとヒルダ。
そうか、暇か。なら良かった。
昨日、十徹明けの果心と良く似たテンションで連絡を入れて来たジャッカル女史に指定された時刻まで、あと三十分少々。
しかし俺は――より正しく言うなら俺達は――既に集合地点である某山中を訪れ、手頃な木を斬って拵えた切り株へと腰掛け、寛いでいた。
「どうして、こんな山奥に集まるんだろうね」
「俺が知るか」
死体埋める予定でもあるんじゃねーの。
「月彦、ちょっと鏡持ってて。メイク直したい」
めんどくせぇな。
こちとら座ったばっかで尻に根が張ってんだぞ。
「化粧なんかしなくても、お前は美人だよ」
「……そういうのいいから持ってて」
ちったぁ忖度しろや。
――二十三。
「ねえ月彦」
「あァ?」
――十八。
「言われるまま着いて来といて今更だけど、なんで三十分も早く現地に?」
「手紙に書いてあった」
――十二。
「要はフェリパ・フェレスからの御要望だ。俺達三人にだけ、話があるんだと」
――七。
「話……? 私達に? 誰が?」
――四。
「まさか、三十年も前に死んだコスタリカの聖女サマが、なんて言う気?」
「すぐ分かる。てか、もう分かる」
――ゼロ。
「よォ。ピッタリ時間通りじゃねぇか」
ここまで樹上を飛び移って来たのか、木立を揺らし、只人の聴覚では聞き取れまい僅かな駆動音を伴い、眼前へと降り立つ人影。
「遅れる理由も、足を急がせる理由も、ありませんので」
毛先が膝に触れた、人工的な彩りの青髪。
生命感の無い、表情に乏しい顔つき。
女としちゃ上背がある方なリゼやヒルダを凌ぐ、俺より頭半分低い程度の長身。
初めて顔を合わせた時のライブ衣装とは趣を異にする、暗色の装い。
「ツレの紹介は必要か? シンギュラリティ・ガールズ参番機、Λ」
「結構。それと私は、壱番機のu-aです」
間違えた。めんご。
「ついでに言うならΛは肆番。参番はLzaです」
間違え過ぎた。めーんご。
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