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博多の女こと五十鈴硝子は、ハガネこと雪代萵苣の娘である。
想像もしなかった相関図。だって全然似てねーし、なんなら苗字も違うし。
ただ、五十鈴の本名は『
ちなみに俺は一昨日、登録名を『フランシスコ・サモエド』に変えたばかりだ。命名の意味は特に無い。
…………。
しかし、な。まさか、な。
「彼の女傑が懐妊中だったとは……俺、腹は蹴ってなかったよなァ……?」
顎、顎だけの筈。しかも殆どノーダメージ。
何せハガネが目を覚まして以降は、こっちがほぼ一方的に致命傷を負わされ続けてたからな。
つむぎちゃんの糸とリゼのスキルで不死性を得ていなければ、シンゲン氏とカルメン女史が止めに入るまでの間に軽く五回は死んでいただろう。
尤も、改造を施してなかったなら、別の立ち回りを演じたまでだが。
あの時ハガネに一発食らわせるには、ああ動くのが手っ取り早かったってだけの話。
そういう経緯も踏まえると、水入りで終わったのは本当に幸運だった。
あと数秒遅ければ、恐らく俺は――ハガネの腹を手刀で貫いてた。
「危ねぇ、超危ねぇ。なんつうギリギリセーフ」
もし万一が起きていようものなら、後味悪いなんてレベルじゃ済まん話。
向こうも向こうだ。そんな身体で刀抜きやがったのか。非常識が過ぎるだろ、あのレタス。
……にしても。
「妊娠。妊娠ね」
夫婦仲良好なようで大変結構。
が。ハガネの推定年齢を鑑みれば、流石に驚きを禁じ得ない。
「最低でも五十路。下手すりゃ六十代七十代。そんな歳で、まだ産めるのか。全くスゲェな、不老効果付きのスキルって奴は」
なんとはなし呟くと、何故か珍妙な表情を浮かべる五十鈴及びジャッカル女史。
どったのセンセー。
「……持っとらん」
「は?」
「母しゃんな不老効果んあるスキルば持っとらん」
マジもんのバケモノじゃねーか。
「ちなみにカルメンとシンゲンも持ってないぞ。六趣會で不老はオレ含めて三人だけだ」
マジもんのバケモノが増えたじゃねーか。
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