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あの腹立たしい寝惚け面。俺の三倍近く歳を食ってると俄かには信じられん、童女が如き容貌。
無雑作な一刀にすら神を宿した、姿を思い返すだけで血が煮え返る絶対強者。
再戦と決着を望むのは当然。対価とするにも妥当。
「……それは――」
にも拘らず、困り顔で言葉を詰まらせるジャッカル女史。
「そりゃ出来ん」
そして。途切れた彼女の弁を引き継ぐように、長く黙り込んでいた五十鈴が否を示す。
「あァ?」
出来んとは奇々怪々な。この前は向こうから喧嘩売って来たんだぞ。
論ずるに及ばず、血と闘争を至上の甘露とするケモノ。声を掛ければ喜び勇んで殺し合ってくれるだろうよ。
てか、そもそもコイツ一体どういう立ち位置なんだ。
俺とヒルダの懐に容易く潜り込み、静止の警告を無視したら拳銃で右目を四度も撃ち抜いた挙句、その際にスキルを封じた力量と手腕は見事。
しかし会話の節々より紐解くに、六趣會のメンバーではない模様。ジャッカル女史との関係性も今ひとつ不明瞭。
とどのつまり、口を挟むに足る筋合いが分からん。
――と。そんな些細も些細な疑問は、次の一言で即座に氷解した。
寧ろ氷解を通り越し沸騰、残らず蒸発して消えた。
「母しゃんな身重と。戦闘なんてしゃしぇられん」
………………………………。
……………………。
…………。
「パードゥン? 麻雀?」
「母しゃん、ばい」
マジかよセンセー。
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