348
「ありがとうございましたー」
この近所に住む親戚のところで一泊するらしい甘木くんと別れた後、ケーキ屋で甘味を買い込む。
出掛けるなら、ついでに買って来いとリゼ大明神閣下より拝命仕ったのだ。
要はパシリ。
「ったく、アイツくらいだぞ。俺を顎で使う奴なんざ」
こちとら寧ろパシる側だ。生まれてこの方ずっと。
……どちらかと言えば、周りが勝手にやってただけだが。
中高の時とか特に酷かった。何故どいつもこいつも焼きそばパンを毎日毎日持って来るんだ。別に好きでもなんでもないわ、嫌がらせかよ。
つーか。
「あんにゃろう電話に出やがらねぇ」
さては寝こけてるな。人をパシっておいて自分は居眠りか、良い御身分だ。
畜生め、帰ったら覚えてろよ。夜食に添えるホットミルクを適温より少しヌルくしてやるぜ、ふはははは。
思いがけず暇になったので、ぶらぶらと街を練り歩く。
流石ヨコハマ・シティ。甲府とは栄え方が段違いだ。
ぶっちゃけ人とか建物とか車とか信号とか、何もかもが多過ぎて鬱陶しい。八割くらい液状化しねぇかな。
「いっそ空でも飛べりゃ良かったんだが」
道具や機械に頼らず、身ひとつでフライアウェイ。人類の夢だよセンセー。
飛行能力とか、実はバカみたく希少らしいけども。
「けど、そう言や、ヒルダは飛べたな」
なんとはなし、頭上を仰ぐ。
タイミング良く、当のヒルダが宙空を舞っていた。
「ちょっぴり羨ましいぜ。アイツの『
二度見。見間違いではない。
何故、吉田共々ロシアでチュパカブラ・ハンティングに勤しんでる筈のヒルダが、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます