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白昼堂々、人垣の只中に居た俺をピンポイントで狙撃などという、あらゆる意味で巫山戯た行為に及んだ大馬鹿野郎を探すも、流石に人が多過ぎて分からん。
つーか段々面倒臭くなってきたし、諦めて甘木くんと合流しようか。
そんな風に考え始めた頃合、あることに気付いた。
「……この弾」
え、なに。つまりコレ、矢文的なアレだったん?
「ヤバみだな。矢文だけに」
自分で言っておいてなんだが、指の一本もヘシ折りたくなるほど下らんギャグをかましてしまった。
よし、ヘシ折っとこ。
「お客様、申し訳ありません。この先、関係者以外立ち入り禁止と――」
「邪魔」
行く手を遮るスタッフの後頭部に必殺『おそろしく速い手刀』を打ち込み気絶させる。
フレームレートが秒間六十の監視カメラだろうと一切映らん早業。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。
ついでにカードキーも借りて行く。
無論、ちゃんと帰り際に返す予定。
「さァて。三番控室はどこだ」
警備の関係上、この手の施設は楽屋などの見取り図が一般公開されていない。
とは言え大まかには見当が付くし、先程『豪血』を使ったから敷地内の構造も細かに把握出来ている。
多分こっちだろ。
「時間は」
あと一分か。急ごう。
こんなもん普通ならシカト決めるが、何せ額狙いの弾で人様を呼び付けるクレイジー極まれりな輩だ。
きっとノコノコ現れれば、世にも奇妙な出来事が待ち受けているに相違ない。手の込んだデスゲームとか。
気乗りしねぇイベントだったけど、来て良かったぜ。
「ビンゴ」
指定時刻きっかり、三番控室に到着。中に十人くらい居るな。
はてさて、鬼が出るか蛇が出るか。
「どーもーこんちわー。デスゲーム会場はここ、です……か?」
意気揚々、扉を開け放った俺が目にしたもの。
幾つか思い浮かべていた予想の、何れとも異なる光景。
――血塗れで倒れるスーツ姿の壮年男性。
――物々しい装備に身を包んだ、テロリストばりな雰囲気の集団。
そして――そいつ等にトランク詰めされてる真っ最中な、動画やブロマイドで見た五人だか五機だかのガイノイド達。
…………。
「え、何この状況。バトルロワイアル?」
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