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 降って湧いた空白の日程を事前準備に注ぐつもりの俺達だったが、思わぬ問題に直面していた。


「ひと通り終わっちまったな」


 大規模なパーティなら、長期のダンジョンアタックに際した物資の用意ひとつ取っても容易くないだろう。

 重ねて、戦闘時の動きなども人数が増えるほど複雑化するため、綿密な相談が不可欠。


 が、俺達は三人。

 やもすれば五十人を超えるような大所帯と比べて必要な食料や回復薬ポーションの量は格段に少なく、立ち回りも個々の裁量任せな部分が大きい。

 遵って、半日足らずで殆ど片付いてしまった。


「どうするよ。あと四日」


 指折り数えて待つには長い。長過ぎる。

 や、だったら何日までなら待てるとか聞かれても困るんだが。


「クソッタレが……こちとら止まると死ぬんだよぉ……!」

「まるで鮫ね」


 ほう鮫。いいじゃないか、カッコ良くて。


「シャーッハッハッハッハッハッ!」

「何それ」

「鮫っぽい笑い声」


 おいリゼ、その哀れなものを見るような目はやめろ。






「と言うワケで案を募りたい」

「マスター、ドクペちょうだい」

「僕にはテキーラを。ロックで」


 行きつけのダーツバーに三人で集まり、座談会開催。


 ちなみにヒルダは先日の風呂場での騒動以降、俺の家に寄り付かなくなった。

 クリーチャーでもない単なる心霊現象如きを相手にビビり過ぎだろ。


「時間潰しの画期的アイデア、バンバン応募してくれ」

「マスター、ドクペおかわり」

「灰皿も貰える?」


 人の話を聞けや。


「つーかヒルダ、てめぇヤニなんか吸うのな」


 俺もリゼも飲酒喫煙やらないから、妙に新鮮。


「ふぅっ……ダンジョンアタック中は酒共々に断つけどね。禁断症状が僕に一層の鋭さを与えてくれる」

「禁断症状って、アンタ私達の一個下でしょ。なんでその歳でアル中ニコ中が併発出来るのよ」


 ドイツは十八歳から酒タバコ解禁だぞ。

 そいつを加味したところで依存が早過ぎるけども。


「まあ兎も角だ。行きたい所とかあれば案内するぜ?」

「行きたい所、か……ああ、だったらあそこがいいかな。東京なんとかランドって大きな遊園地」


 悪いが、そこはマズい。

 何がマズいか具体的には分からんけど、兎に角マズい。






「ところで君達は飲まないの? お酒」

「私は『消穢』があるから飲む意味無いもの」

「俺は単純に下戸だ」


 前にショットグラス一杯だけ飲んだら、目が覚めると鉄塔の天辺に引っ掛かってた。

 どうも血液型がタイプ・ブルーの人間は、アルコールとの相性が極端に悪いらしい。





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