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「こちらが選手控え室になります。少し、お急ぎ下さい」
「どうも」
やって来ました本戦当日。
いや危なかった。日付忘れてて遅刻するとこだった。
SRCの本戦は、オーソドックスなトーナメント形式。
また、少人数ゆえ重傷者用の
予選の時は変てこなナマクラしか使えなかったからな。美意識にそぐわず、素手で戦わざるを得なかった。
本当は防具も嫌だったが、致命傷レベルのダメージを受けた際に自壊して一度だけ肩代わりする特殊装備とかで着ないワケに行かず、やむなしだった。
「やっぱ自分用に作らせたやつが一番馴染む」
さっさと着替えんと。
何せ会場入りが遅れ気味だったもんで、今は一回戦第三試合の真っ最中。
組み合わせがAブロックからHブロックの横並びで助かった。日頃の行いだな。
「スカル・スカー選手。出番です」
着替え終わってすぐ、係員が呼びに現れた。
クネクネのフードを被る。俺に対する認識が狂ったのか、向けられる視線が怪訝なものに。
「入場のタイミングは合図を入れますので――」
移動中、簡潔に説明される流れを聞きつつ、なんとはなしネットの掲示板を覗いてみる。
怒涛の勢いで書き込まれているスレ。お陰で本戦の進行状況がリアルタイムに把握可能。
意味不明な
差し当たり拾い集めたのは一回戦第一試合から第三試合の結果。
それぞれ勝者はBブロック代表の格闘家上がり、Cブロック代表のアイドル
……Sチューバーの奴くらいしか名前聞いたことねぇな。
掲示板での書かれ方を見るに、全員そこそこ有名っぽいが。
「そも最近の
どうもネット上では次の準決勝でぶつかる格闘家上がりとアイドル
延いて俺の評価は……イマイチだ。
知名度ゼロだし、予選映像でのスキル考察も「速過ぎる」「明らかに新人クラスの動きじゃない」とかで、幻覚系や催眠系という予想が濃厚。
要は、ほぼ完全に乱戦向きの搦め手系と思われてる。
しかも一回戦の相手であるGブロック代表は、優勝候補のガチ武闘派。
そりゃ前評判も下がるわ。
「……ま、構わんけどな。他人に何を言われたところで」
こちとら、関心が向いてるのは既に対戦相手だけだ。
改めて考えてみれば、協会登録三年以内ならリゼも含まれる。
予選でやった手刀くらいは軽く対応するどころか、蹴りかナイフの反撃までオマケしてくれるだろうアイツを準拠に考えてみた。
新人
「ハハッハァ」
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