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 結局、俺では不適格とかで教師交代。

 ちくしょう屈辱だ。


「スキルの制御に重要なのは、推し量ることよ」


 大鎌の柄で肩を叩きながら、淡々と告げるリゼ。


「何が出来るか、どこまで出来るか。可能な限り具体的に把握するの」


 魂に根ざした存在であるところのスキルは、精神によって御される。

 チカラの全容を知り、明確なイメージを形成すれば、抑えることにも繋がるとか。


「あなたの場合、まずは怯えを捨てなさい」


 艶を帯びた甲殻で覆われた、内側に鋸刃状の突起が生え揃う八脚の一本を撫でるリゼ。


「あなたのスロットは魂に深く混ざり込んでる。良くも悪くも普通より意思や感情が伝わりやすいわ」


 異物扱いすれば、異物として反発する。

 怪物扱いすれば、怪物として牙を剥く。


 リゼ曰く、つむぎちゃんが『アラクネ』を忌めば忌むほど手綱は利かなくなるらしい。


「どんなに否定しようと既に『アラクネ』は、あなたの一部になってるの。最初に、それを認めなさい」

「っ……そん、なの……」


 俯き、唇を噛み締めるつむぎちゃん。

 簡単に言うが……彼女の心境を慮れば、決して容易くなかろう。


「……ま。取り敢えず身体、動かしましょ。今の姿で色々やるのに慣れたら、少しは意識も変わるかもだし」


 ついでに、消耗すれば大なり小なりスキルの活性も弱まる。

 今日中に完全なコントロールを得ることは無理でも、オンオフの切り替えが出来る――日常生活を支障無く送れるくらいの段階には持って行ける、筈。





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