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特に深く考えてなかったが、そもそもスキルの制御ってなんだろう。
「今回みたく特殊なケース以外で、上手く操れないなんて話あんのか?」
「……普通、習得したばかりのスキルとかは私の『消穢』みたいなパッシブ系でもない限り、慣れるまでは発動もモタつくわよ」
んな馬鹿な。
「俺は『双血』も『ウルドの愛人』も最初から問題無く使えたぞ。何が難しいんだ、こんなもんチンパンジーでも出来る」
「ちょっと黙らないとチョキでシバくわよアンタ」
怒られた。理不尽。
然もありなん。
悩んだところで事態が好転するワケでもないので、取り敢えずやってみることにした。
「いいか、つむぎちゃん。スキルを発動する時はこうするんだ」
何度か『豪血』と『鉄血』の切り替えを繰り返す。
瞬く赤と青。些か目に優しくねぇな。
「こんな具合だ。分かったかい?」
「……あの……えっと」
「分かるワケないでしょ。真面目にやりなさいよ」
何故か困り果てた様子のつむぎちゃん、辛辣な台詞と共にチョコバーを齧るリゼ。
真面目も不真面目も無い。こちとら大真面目なんですけど。
「分かり辛い、か? 確かに『双血』はオンかオフか、赤か青か黒か白かで、細かい出力調整みたいなことが出来るタイプのスキルじゃねーからな」
「それ以前の問題よ。単純に教え方が悪い」
ドクペをボトル半分近く飲み干したリゼが、深く静かに溜息を吐く。
「アンタ普段どうやってスキル使ってるワケ? 発動時のイメージとかは? 特に『ウルドの愛人』の方は相当に緻密なコントロールが要求されてると思うけど」
イメージ。そんなまどろっこしい真似したことないが。
言うほど『ウルドの愛人』の扱いも難しくはない。習得した時点で思い通りに過去の可能性は見られたし、差し替えもアルバムに写真を貼るより簡単だ。
しかし、そうだな。強いて言うなら。
「ノリで」
食べかけのチョコバーを口に突っ込まれた。
「念のため着いて来といて良かった。この本能型の極みに居るような男が、人にものを教えられるワケないのよ」
中にジャムが入ってて物凄く甘い。
「心外だな。獣みたいに言いやがって」
「獣の方が、まだ始末がいいわ」
ひでぇ。
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