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「やっと半分越えか。かくれんぼは神経削るぜ」
四十五階層と四十六階層を繋ぐ、数百メートルの長い階段。
血生臭い廃都で休憩を入れる気にはならないため、クリーチャーの発生しないここで腰を下ろす。
尚、カタストロフがステージⅡ、スタンピードに移行すれば、この階段部も半安全地帯とは呼べなくなるらしい。
そりゃあダンジョンの外までクリーチャーが溢れるのだ。内部が更なる混沌を呈すなど自明の理か。
「しかしアレだな。カタストロフ中の現状は、このエリアを進む上では寧ろ好都合だな」
「イレギュラーエンカウントした浅い階層のクリーチャー達が、元から居る連中の注意を引いてくれてるものね」
三十番台階層でもそういう傾向はあったが、四十番台階層の怪物共は縄張り意識が強いのか群れない。どころか、テリトリーを侵されれば争いさえする。
まあ都市伝説ってのは、それぞれが独立した話ばかりだ。同じ分類を受けていようと向こうからしてみれば、顔を合わせたことも無い隣人みたいなものなんだろう。
畏れを振り撒く異形にとっても、己以外の怪物は、やはり怪物でしかないのだ。
「流石に全部が全部やり過ごせるワケじゃねぇし、どいつもこいつも手強いが……」
階層面積の広さとクリーチャー分布密度の薄さも手伝い、想定以上に消耗を抑えられてる。
……ただ、ひとつ疑問を挙げるなら。
「ところでリゼ。お前なんで時々、倒す必要のねぇ奴に『飛斬』撃ちやがんだ?」
目当てのドロップ品でもあるのか。しかし、こいつの欲しがりそうな物と言えば化粧品に加工出来る素材だが、ここの連中が落とすとは思えん。
確実に一撃で仕留めてるし、呪詛を撒き散らしてクリーチャーを刺激しかねない『
そんな風に、悠長な思考を浮かべていたら。
「アンタより討伐ポイントを稼ぐためよ」
………………………………。
……………………。
…………。
「差し当たり、三十番台階層で凌がれてた分をチャラにしても余るくらいはプラスさせて貰ったわ」
「……おー、まい、がっ」
八尺様に襲われたトラブルの所為で、すっかり忘れてた。
どうしよう。このままじゃ負ける。
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