79
リゼが寝静まった後、こっそりホテルを抜け出し支援協会へ。
昼も夜も無いダンジョンを攻略する
「太平洋の『リ・アトランティス』でカタストロフ反応増大……近々、日本含む世界各国より戦力派遣、ね」
受付で少し待ち時間があったので、なんとはなし新聞に手を伸ばすと興味深い記事が。
――ダンジョンを放置し続けると、過剰なエネルギーの蓄積によって暴走したゲートが周辺一帯の空間を呑み込み始め、最終的には直径数百キロほど地球を縮めてしまうとか。
俗に『カタストロフ』と呼ばれる、事象革命の黎明期に於いて散見された現象。幸い、何れも初期段階で食い止められたそうだが。
各ダンジョンに出現するクリーチャーを倒し、エネルギーを蓄えた魔石を回収すれば、カタストロフ発生は未然に防げる。
「リ・アトランティス……今や数える程度になった未踏破ダンジョン……しかも難度十。是非とも行ってみてぇなオイ」
とは言え、全世界で九つのみ存在する難度十のダンジョンへと踏み入る権限を持つのは、世界中で三百万人近い
今の俺には、まだまだ手が届かない話だ。
「クリーチャーを誘き寄せるアイテム、ですか」
「ええ。この支部に、なんか在庫置いてません?」
少々お時間頂きます、と告げて空間投影キーボードを叩き始める窓口の係員。
程なく検索結果が出たのか、再度此方に向き直った。
「お待たせ致しました。先日、別の方が幾つか購入されていますので数は少ないですが」
マジか。この手のアイテムは扱いが難しいため大規模な支部でも置いてるか微妙だったが、聞いてみるもんだ。駄目元精神万歳。
「在庫数と値段は?」
「三つほど。ひとつにつき四万円となります」
たっかいなオイ。使い捨ての消耗品が五桁とは驚き。
でも買う買う、普通に買っちゃう。こういうアイテムに金かけてこそデキる
「使用方法につきましては、同封された説明書の方に記載が御座いますので」
「どうも」
受け取った小さな包みを圧縮鞄に突っ込み、ほくそ笑む。
リゼめ、快進撃はここまでだ。次こそ鼻を明かし、ギャフンと言わせてくれるわ。
実際に言う奴、見たこと無いがな。ギャフン。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます