「Romance」

朝寝て昼寝て夜も寝る

寝ることを睡眠だと思っているなら

そいつはただの世間知らず

この暮らしに昼も夜もない

貢ぎ狂うほどに未来は暗くなる


飲めやしない酒も払えない電気代も

私の全ては繁華街に置いていく

何のためにと聞かれたら

男の夢と笑顔のために


この道の果てには何も無い

そう分かっていて、それでも前に進む

泥舟に乗って逃げ出せない地獄

来ない助けをなぜ私は待ち続ける?



だって

生きているからには

自分の存在を認められたい。

そうでしょう?


その手 その声 その身体

誰よりも多く感じていたい

そして冷たい手を握られて

歯が溶けるほど甘い言葉を噛み締めたい


でも金を積んで得られる存在感は

金よりも軽い存在感

わかっている、それはそうだ

そうだけど、そうするしかない

それだけが、歪な幸せを守る手だてだから



この命の果てには何も無い

そう分かっていて、それでも時計を止めない

いや違う、自分では止められないのだ

叶わない願いをなぜ私は待ち続ける?




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