妖の夜宴(2)
夕暮れにバイクを走らせる
土地神に封じられて思うように動けない
青龍寺は目をつけていた
ゴチャゴチャとした小さな商店街の片隅で青龍寺は狩りを行い、水墨画となった異形の
上々な狩りの結果に、爽快な気分でバイクを走らせている帰り道、
(そういや、あのチビ、引き寄せやすい体質だったな。
もしかすると面白い
見に行ってみるか)
好奇心で訪れた蓮華兄弟のいるマンションだが、青龍寺は予想外の光景を見ることになった。
夜8時を回ったマンション前の道路に、青龍寺の兄・
いぶかしく思った青龍寺は、声をかけることはせずに、距離をおいてあとをつけ始めた。青龍寺に気づくこともなく、二人は話しながら近くにあったコインパーキングへ到着した。そこで清正は車に乗りこんで去っていき、柚莉も来た道を戻りマンションへ姿を消した。
(兄貴がわざわざ出向くとは、なにかあるな。
だが今日はマズイ。
狩りをしたから親父と兄貴は気づくかもしれねえ。明日だな)
青龍寺は面白そうなコトが起こりそうな予感がしている。本当はすぐにでも行動に移したくてウズウズしているが、気持ちを抑えてマンションをあとにした。
*** ***
「なんだ、
早朝、寺の境内を掃除していた兄の清正に声をかけてきた環の姿がある。環はあたりを見回してホウキを見つけると、手に取って掃除しながら清正に質問してきた。
「兄貴、蓮華兄弟のマンションでなにしてたの?」
突然の質問に清正は一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに笑顔を見せて答えた。
「環は相変わらず目ざといな」
「…………」
「
「なんだ、それ?」
「そうだな、朝食作ってくれたら教えるよ」
清正がニッコリと笑って言うと、環は少しだけすねた表情を見せ、ホウキを置いてから屋敷へと向かっていった。
朝食が並んだ和やかな朝の風景に
「蓮華さんはこの時期、守護が弱くなるから結界があったほうがいいと思ってね。私の代わりに清正に頼んだんだ」
「神無月の影響か?」
「よくわかっているじゃないか」
清正はしれっとした顔で朝食をとっていて、黙って二人の会話を聞いている。
結局のところ、父親がマンションに行っていた理由を話してくれたので、環は朝食の作り損となっている。しかし家族がそろうと、やはりにぎやかになるようで、ほほえましい時間が流れていた。
「兄貴、結界張るのは神無月に一回だけ?」
「いや、神無月に入ってから週に一回は張り替えているよ」
「早いな!」
「用心のためだよ」
「じゃあ、あと二回行くのか?」
「ああ」
「次はオレもついていっていいか?」
「ん――、そうだな。環も知っていると便利かも」
「『便利』? 兄貴、オレを使うつもりだろ」
「ははは」
話がまとまり、次の結界張りには環も同行することとなった。環は神社で争った一件以降、蓮華兄弟とは険悪な状態になっていたので、ほとぼりが冷めるまではと距離をおいていた。
(『
弟を
そろそろオレに対する怒りも薄くなったころだろう)
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