狐面の男(3)
暗い過去はあるが今の
青龍寺のような男は、裏の顔を知らない人から見れば、うらやむような境遇だろう。それなのに彼はいつもなにかを渇望していて、心が埋まらない。
求めているものがなんなのかわからないので、空虚を埋めるため青龍寺は新しい遊びを考える。
そこで始めたのが
常人には見えない
青龍寺は多くの
それからは行動が早く、どうすれば絵に変えることができるかを調べ始める。史料をあさったり、自分で呪術をかけたりして試行錯誤したあと、
呪術が自在に使えるようになると、暇つぶしと趣味をかねて、青龍寺は自分好みの
普段の青龍寺は面倒くさがりだが、自分の趣味となると苦労をいとわなくなる。気に入った
ターゲットにした
誤解のないように言っておくが、青龍寺は他人が傷つこうが死んでしまうことにはなんとも思っていない。人が巻きこまれたことで、事件や事故に発展した場合に、自分に飛び火しないように用心しているのだ。
青龍寺が狩りのときにつける狐面、「中二病かよ」とつっこみを入れたくなるが、これも計算ずくだ。面は祭りなどで見かける狐面で、平時はかなり目を引く。青龍寺はこの特性を生かして、姿を見られたときに狐面の印象を強くして、詳細部分を知られないようにしている。
しかも手袋をして指紋を残さないことにも気を配っており、狩りの『場』から足がつかないよう対策し、身を隠せる場所やいざというときのために逃走経路も用意しておく。
万が一、身元が割れたとしても逃げる手段はつくっている。
青龍寺が
キツネは常人には見えないため、周囲からすれば青龍寺はただ見ているだけの人としか映らない。それに…… たとえキツネが視えたとしても法で罰する手段はないのだ。
用心深くて狡猾な青龍寺は
(へえ……。面白い
暇だし、あの
電車を使って移動していた青龍寺は、偶然にもお眼鏡にかなう
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