第36話家出
ある朝、くしゃくしゃに丸めた置き手紙がテーブルに置かれているのを見かけた。
リビングは共有部分だが俺は見過ごしてしまうころだった。
開いてみるとそれは姉さんの字で
「お世話になりました」
とだけ書いてあった。
マシンメトリィがあるんだからメールでもすれば、、
と読み流して
「何だって!?」
慌ててユリを呼ぶとすぐにテレポートしてきてくれた。
「どうなさいましたか!?」
いつものお茶目、、という選択肢は焦った俺には浮かぶ余地はなく瞬く間に人も集まってきた。
「何どうしたの?」
みよのマシンメトリィがみよのフリをして声をかけてきた。
慌てた俺はそれにも気づかず、
「みよ!どうしよう!」
縋りつくようにした俺を本物が冷めた目で
「落ち着きなよ」
どうしたの?と続いて聞いてくれるみよは手紙を横取って、、
「これだけじゃわかんないでしょ?」
しかし、みよ様こちら「お世話になりました」とあります。
これだけで完結しているようにも見えますが。
「あの博士がそんなストレートに書くワケないじゃん」
それに色々考えもあったんじゃない?
そういうみよにマシンメトリィは続ける。
「世界征服、三角関係、新たなマシンメトリィの研究」
ちょッソレはどういう、、
ちょくちょくみよのマシンメトリィはみよをイジる。
「世界征服は阻止された。三角関係なんかで姉さんが動じないのはわかりきっているとして、マシンメトリィの研究か」
それはどういうこと?
「あの時悔しそうにしていた姉さんの姿を思うと新たなマシンメトリィの研究のため、世界を見に行ったんだと思う」
「まだ私は負けていない」と歯を食いしばっていた姉さん。
まだ切り札でもあるのか?
ん?
よく見ると手紙には何か文字を消した跡があった。
おれより強い、、じゃなくて大好きだよ。タケル。
みよちゃんを幸せにしてあげなよ?
ちょっと行ってきます。
「気にしてたんだ。らしくないね」
マシンメトリィに読み上げてもらったみよは姉さんの行動にクスっと笑った。
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