第35話最悪の想定
マシンメトリィは素体から細胞をとりコピーする。
ハートギアシステムを乗り越えたペアからは子供も生まれる。
その際にはどちらがマシンメトリィでも、遺伝子異常を起こすことはない。
マシンメトリィの普及率は高い方だが、魂までインストールさせている者は少ない。
博士自らの実演による恐怖の緩和、、
それだけで説得できるものではなかった。
それまで当たり前であったことを一斉になくすとはいかないものだ。
まず、怖い。それに宗教的なものもある。
それを新しい文化が来たから捨てる。
_そうはならないよな。
これが今だにシェア率100%を達成できない最後の理由だった。
世界は姉さんを認めはじめている。
その技術の共有もしたがっている。
しかし、そこには裏もある。
新しい技術と利益や戦争は切り離せない。
しかし、人間は何のために戦っているか?
意見が食い違う、状況、文化、宗教が違う。
そうしたものは国の考え方でもある。
いわば個性だ。
それをもし、マシンメトリィに乗っ取られたら、、と考えると同意はできないのだろう。
いくら姉さんがマシンメトリィの手綱を握っていてもそれがもし離れたら、、
もし姉さんが最初から侵略するつもりならと悪い想定は国のトップなら一通りはしておかなければならない。
しかし、人間の頭脳で機械に勝てるのか。
一瞬でも追い抜かれたらおしまいだ。
それを思えば博士と手を取り合うことはできなかった。
軍事利用。
そんなことは最初から想定していた。
しかし、実際に起きてみれば、簡単に巻き込まれていった。
各国の軍人が自分のマシンメトリィを焼き増しして、自分達だけは安全なところから指令を出す。
全ての国でそれが行われた。
何しろ便利なのは死んでも代わりがいる。
自分が生きている限り無限に自分を量産できて、それによる異常が見つかれば随時修復できるという兵隊にうってつけのマシンメトリィは悪循環を繰り返していった。
そのシステムが壊れるまで。
不老不死など不可能だと云われた世界が懐かしいと思えるほど悪循環による不老不死は実現した。
だが、国同士のぶつかり合いとなれば規模が違う。
それをマシンメトリィに背負わせる予定は姉さんの頭の中にはなく、ある日突然各国のマシンメトリィがシステムダウンした。
全て一斉に。
勿論そんな指令を戦場で出す者がいるはずもない。
実はこの機能は利用規約に記載されていた。
可愛い丸字で。
「仲良くできない人にはメ♡」と。
姉さんは戦争による利益など求めてはいなかった。
あくまでも戦争なしで人類には育って欲しかった。
進化は滅亡の先にはない。
人の幸せの先にあるべきだと。
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