第33話クセのある後輩

「センパイ」

 しかし、あの姉さんがそうまでして世界に疑問を持ったのは何故だ。

「咲枝センパイ」

 4歳の頃一体何があった?


トン


「あ、ごめん。どした?」

「センパイ声かけてるんですから気づいて下さいよ」

 正直後輩として苦手なタイプだからやり過ごそうとしてしまった、とは言えず

「何か用だったか?」

「ッまた私をやり過ごそうとしましたね?」

 チャラいクセにやたら人を見抜く力だけはある。

 それより要件はまだか?


 他の人はどうかわかりませんが、私はセンパイのそういうとこが好きなんです。


「え?どこが?」

 どうやら思っていたより話を聞いていなかったようで話が繋がらない。


「また聞いてなかったんですね?」


 み、みよは、、

「みんな帰りましたよ」

 もう少しで施設内の電源落ちます。


 おぃ何してんだ!早く帰らないと!

 ちょっとくらいいいじゃないですか。

 

 オフィスでそれはマズいって!



ブン


「ユリ!」

 逃げますよ?それ以上はみよさんに怒られます。

「耳はやめろ」


 ユリはふと笑い窓際から隣のビルへワイヤーを投げる。

 隣のビルにくっついたワイヤーを引っ張り俺を抱いて跳んだ。

 お前そんなことしなくてもワープできるだろ?

「あなたを分解するワケにはいかないじゃないですか?いきますよ」

 空中で恐ろしいことをユリに言われながら後輩を残し俺は去っていった。



「諦めませんよ」

 そう言った声が聞こえたような気がした。

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