第28話全てのマシンメトリィに告ぐ
順調にマシンメトリィは種類を増やしていた。
世界を席巻するまでに至り文字通り世の中は姉さんの手中に収められ世界を征服するまでになった。
「まずは世界を征服それからどうしたいかだよねー」
相変わらず届かない足を組み上げながら姉さんは言った。
「考えてないの?」「まっさかぁ」
勿論そんなことはなく、統一国家のトップとなった彼女は宣言する。
「皆、仲良くしなきゃダメ」
統一国家の唯一にして最大の法律はそれだけだった。
細かいことは今まで通りで、来るべき災厄に備えると締め括った。
_災厄って何?聞いたことないんだけど。
全く検討もつかなかった。
一体姉さんは何に備えてマシンメトリィまで作ったのか?
いやさ、そこからだとすると4歳の子に何が見えていたのか。
大の大人が見落としているものを4歳児は見抜いていたのか?
いや、今の俺でもわからない。
一体何がやってくるんだ。
その不安まではそんなに時間を置かずにたどり着くこととなる。
突然海が割れたとか、流星群が現れたとかそんなSFチックなことや前触れもなく、事件は突然やってきた。
人々が次々に病に倒れ伏していった。
まずは世界的な感染症からだった。
それでも医療用マシンメトリィが必要量配備されていたため大事には至らず、コンピューターウィルスによる攻撃にもマシンメトリィは耐えて見せた。
マシンメトリィがいたことでそれらは未然に防ぐことができたんだ。
しかし、
そんなマシンメトリィ達にも防げない姉さんにも想定外の事象が起きてしまう。
マシンメトリィの裏をかいたコンピューターウィルス、、
それは内部告発から始まった。
「世界はキミのオモチャじゃない」
ここまで黙って従っていたヤツが今更何をと振り向くとそこには意外と不自然なヤツが、
「咲枝社長」
要するに俺の父親なワケだが、なして邪魔をするのか?
「やはりお前にはまだ見えてないらしい」
いいか?タケル。
このままマシンメトリィに世界が染められれば世界は一個人のものになる。
それはわかるな?
「姉さんがそんなことするワケがない」
そうか。もう手遅れか。
ではみよちゃんならわかるだろ?
「私は、、」
たしかにマシンメトリィが無敵を演じているという見方もできなくはないけど、、
ではこれはどうだ?
「課長?どういうことですか?」
辞めるって何で?
そこには防犯カメラに映る天音博士と課長の姿が。
「この事実は私のところまで届いていない」
他にもちらちら細かい報告ミスが挙げられる。
マシンメトリィまで作った人がそれくらいのミスをするとは思えないんだよ。
作為的なものを感じざるを得ないじゃないか?
「流石社長ですね」
姉さんは立ち上がった。
いつものフザケ半分の姉さんではない。
私もこんなに早くバレるとは思いませんでしたよ。
_ウソだろ?
でも、私だって本気で世界を変えたかった!
そのためなら世界だって征服した!
どうしても変えなきゃいけなかった!
世界中が平和になってくれたら、、ッ
おね、おねぇ、、お姉ちゃんだって!!
「生まれてこれたはずなのに!!」
そうか。たしかにキミの発明は世界的な利益にもなったよ。
だからこれからもその技術が世界を守り続けることは間違いないだろう。
しかしな?
世界征服はやっちゃいかん。
それはどんな理由があっても独裁だ。
キミの発明したマシンメトリィにならそれくらいはわかるはずだ。
医療や福祉の関係は本当に助かっている。
先頃発表された翠楼のマシンメトリィも環境を変えた。
だが、キミの役目はこれまでだ。
しばらく活動を停止させて貰う。
_え?
「父さんやめて!」
思わず俺は姉さんの前に出た。
たしかに姉さんは大分人らしくない考えを持ってるし、俺も理解できないこともある!
だけどそれ「タケルどいて」
姉さんの手によって俺は端に追いやられた。
_あれ?何で?
普通話聞いてから退けない?
「私が停止すれば全国に散った私も停止する。それは把握していますね?」
「勿論だ」
「社長は何のために私を泳がせていたのでしょう?」
「私たちをここで停止させて、動きやすくなったあと、世界を征服するおつもりでは?」
「まさか」
そうだ。今姉さんがいなくなったら無用心すぎる。
みよやその他マシンメトリィがいたって内部事情をよく知る社長ではデータの書き換えも簡単なはず。
それで全てのマシンメトリィが敵になったりしたら、、
「父さん俺達は「残念ですがワクチンは共有ずみです」
ちょっとは喋らせてくれよ。
「あぁそうだろうな」
どういう余裕だそりゃ?
「キミだけが眠れば問題はないだろう?」
しまった!
ッドサ
「姉さん!」
マシンメトリィ本体の処理落ちを狙った
睡眠薬の過剰摂取だった。
先程のマシンメトリィの裏をかいたというのがこれだった。
マシンメトリィはプログラムエラーや病気には敏感に対応するが、栄養や薬などの類にはまだ疎い。
医療用や翠楼などの派生型が多いのはこれをサポートするためだった。
天音博士はそれから数ヶ月、目を覚ますことはなかった。
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