第26話人以外のマシンメトリィ
それからの姉さんの動きは早かった。
俺もついていくのがやっとで時々みよの助けも借りながらワクチンプログラムの調整を行っていた。
「ねぇ、タケル。人ってなんで死ぬのが怖いんだろうね?」
作業に集中しながら俺に質問を投げていた。
「さぁな。動物も実は怖いんじゃないか?」
俺達が知らないだけで。
そう言ってみたらみよが泣いた。
_!?
「もしそうなら私達って酷いことしてるよね?」
そうかもしれない。
そう思うと手元が狂いそうになった。
「おっと!そういう話はあとにしないと皆で死ぬことになるよ?」
ごめん姉さん。
ありがとう。
ワクチンプログラムの調整は終わったよ。
さぁ、配信するか。
「いや、今やっても前のままだよ」
だからこのまま様子見にする。
ホントはこんなのない方がいいんだしね。
姉さんは最初ほど執着しないようになっていた。
「姉さん」
今のは俺じゃなかった。
「どした?」
「動物のマシンメトリィって作れないかな?」
「できるよ」
姉さんはなんでかとは聞かなかった。
「やり方は基本的に同じ、あとは各種生物の生態や知識などが多少必要になってくるけど、やってみたい?」
何だってそんなこと言い出したのかを姉さんは既に察しているようだった。
動物のマシンメトリィを作るとなれば、サンプルを採るのが難しくなる。
犬や猫ならその辺にいるからいい。
しかし、珍しい物になればなるほど採取は難しくなる。
それに、
「私を誰だと思ってる?」
ウソだよね?
「この会社にサンプルを保存できる場所があります」
マシンメトリィ、、
何でもできるんだ。
自分もなかなかのものになったつもりでいたが、姉さんに比べたらやっぱりオマケだった。
それは他の社員もそうだったみたいで殆どの人が沈んでいた。
殆どの人が何かわからずに手伝わされていて、今頃そのことに気づいた様子だった。
さらには
「支社からの問い合わせはそういうことでしたか」
国中に散らばった支社に配属されたみよと姉さんのマシンメトリィ、それにこの間辞めて行った課長のマシンメトリィ。
_あの人マシンメトリィ登録してたんだ。
マシンメトリィ登録というのは以前にもあった、ドナー登録のようなシステムで登録する必要がある。
それによってサンプルを採取そこから当人の承諾を得て制作する。
これによって、元素マシンメトリィが完成する。
_あとは。
魂をインストールすれば完了だ。
それには一度亡くなる必要があって、簡単なことではないはずだった。
_勇気とかじゃないもんな。
それを後押ししてくれたのが、姉さん自らによる実演だった。
今や元素マシンメトリィを持っていない人の方が珍しい。
「一度はバッシングを受けたんだけどなぁ」
永遠の命はほらすぐそこに、、
なんてキャッチじゃ疑うのも無理ないか。
「決めた!私が人間以外のマシンメトリィを作る!」
流石に「やめとけよ」とは言えなかった。
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