第24話リサイクル

 姉さんはマシンメトリィになる前から頭が良かった。

 マシンメトリィの原作者は4歳の姉さんなんだから当然っちゃ当然なんだけど。

 なんでそんなことができたのか、なんでそんなに人間を変えたいのか、大人ならまだわかる。

 酸いも甘いも噛み分けて噛み分け切れなくなってくることがあるからだ。

_誰かの血なのか?

 でも子供の時からだ。それも幼少期。

 俺も製作に携わることになって、その複雑さがわかるようになった。

 勉強したからってできることじゃない。

 それは図らずも世界旅行することになってしまった俺だから実感もある。

 何とか追いついたと思ったらそれは勘違いかもしれなかった。

_結局姉さんの手帳頼みだったしな。


「でもちょっと惜しい」


 その彼女が言うことについ期待してしまう。

 この会社にだって天才クラスの連中が山ほどいる。

 でも、その彼らでも足下に跪く有様だ。

 その姉さんはしかも今はマシンメトリィにインストールされている。

 恐らく世界一のマシンメトリィと言って差し支えない。


「悪い部分だけ元素分解じゃない」


 え?

 流石にそりゃマズいだろ!?

「だと思ったw」

 おぃまた置いてくなよ!?

 二人とも人間じゃなかった。

 域を越えるという意味合いで。


 二人は俺を置いて盛り上がり始める。

 その内容も聞いてはいるがわからない。

 俺にわからないんだ。

 どう説明しろというのか。


「元素分解とは言っても部分的にというんじゃ全部やるより難しいじゃん?」

「だよね」

「だからそんな手術みたいなことするんじゃなくて、全部分解して組み立て直すの」

「遺伝子組み換えのようにですか?」

 途中みよのマシンメトリィが入り俺に聞こえるように言った。

「わかってるぅ」

 姉さんはテンションが上がって両手の人差し指をマシンメトリィに向けた。

_俺がやったら怒るのに。

「人に指をさすな」と。


「ちょっと待ってくれ姉さん!」

 たしかにそれなら簡単だけど、安全性が、、

「少年。よく考えてみたまえ」

 姉さん。キャラおかしいから。

「遺伝子組み換えとは言っても本人の体でやるワケじゃないことはわかるだろ?」

 いや、だからって、、

「待ち給え。本人のマシンメトリィを使うんだ」

 マシンメトリィを構成する元素を分解して組み直すんだよ。

「そんなことが「できる」

 半ば被せてきた姉さんには策があるらしい。

 任せてみようと思った。


 俺達は姉さんの指示通り、元素分解プログラムを組み、世界に無料配信した。


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