第21話連れ子

 俺が2歳の時に姉さんはやってきた。

 正直その頃のことは覚えていないが母さんからはよく遊んでもらっていたと聞いている。

 今の感じからするとろくなことになっていない気はするが。


「私が授乳する」


 と脱ぎだしした時は慌てて

「もう大丈夫だから」と止めに入ったとも聞いているし。

_変わらないなw


 ワガママなところが昔からあったみたいで研究に関してもそうだったらしい。

_俺に会ってからは片手間になったらしいけど。

 2歳の俺に邪魔されたって話も聞いた。

 まだ何もわかってなかったんだろう。

_その時はごめん。


 その話を思い出して姉さんとは血の繋がりがないことを蒼碧そうへきのマシンメトリィの最終調整を行いながら思い出していた。

 それで思い出されてしまうアレやコレ。

_ないない。

 柔らかさと温もり、、

_ないって!

 弾力性に匂い、、

_ないっつってんだろ!


 ダメだ。

 本当にろくなことされてないや。

「お姉ちゃん参上!弟くんその考え待っただよ!」


 出たな?

 そしてみよはやはり止められなかったか。


「これでも直前までは悩んでたんだよ?この人」


 信じるものか。

 これがうつった後の人間の表情か。

 光さええてしまうほどの笑顔じゃないか。


 犬のように俺に懐き出す姉さん(仮)に辟易としながら最終調整の準備を、、

 姉さんそこ踏んだら、、


ガタンッ


 絵に描いたようにその辺のコードに躓いた姉さんの体が宙を舞う。

 瞬間そこにはいなかったはずの蒼碧そうへきのマシンメトリィが姉さんの体を掬うように助け出した。

_ホ。


「大丈夫ですか?」


 実は実験的に蒼碧には空間認識能力を拡張したある能力を操れるようにしてあった。


 有り体にいえばワープできる。

 この能力が何に使えるかはこれから考えるとして、どうも実験は成功していたようだ。


「ありがとう。ユリ」


「いえ、当然のことをしただけですよ」


 照れた拍子に力が抜けたのか、姉さんを取り落とすユリ。


 今回のマシンメトリィには細胞をサンプルしていなかった。

 それもこれからの課題であった。

「やるねタケル。お姉ちゃんもがんばらないと」

 こぶをさすりながら姉さんは俺を称賛する。

_ごめん。


 これは姉さんのマスターマシンメトリィからの派生ではない。

 オリジナルのものだった。

「へぇ、私も知らないヤツじゃん」

 そう。みよも知らないものだった。


「たしかに今まで通りの金型だ」


もにゅ


 おぃそこをそんな風に揉むなよ。

「別にぃ。私はただ製品の検品をしてるだけだよ?」

 あぁまぁそうだな。


「それとも私のをこんな、、」


トスッ


ムグ


 いきなりマシンメトリィがみよの首筋にチョップ、そして唇を奪った。

 一回赤くなったみよは青くなって、

「タケルにあげるはずだったのに、女のコ、それもマシンメトリィ、、」

 首を傾げたマシンメトリィは

「今しがたあなたも同じことをしたではないですか?」

 このようにとみよの胸を揉む。

「あぁぁ!やめろ!わかったから!みよも事故だから、な?」

 止めたのはタケルだった。


 それでも呆けたみよの頬を涙が伝い落ちていた。


 細胞を組まなかったことを早くも後悔していた。

 ここまで機械とは思わなかった。


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