第17話辞表

 辞表。

「課長?どうしてですか?」

 簡単なことですよ。

 私ではあなたに追いつけない。

「若い世代みたいにあなたを追いかけようとしたのが間違いだった」


カサカサ


「これは」

「使って下さい。私の最後の憧れを」

 これ作ってた時はまだあなたみたいになれるかもなんて思ってました。

「これからの私は追うのではなく、並走するつもりです」

 見てて下さいね?

「どうしても私と戦うの?」

「えぇ、戦ってみたいんです」

 世界で唯一の人と。


 わかった。

 メモリーチップは使わせてもらうよ。

 強い敵ができたなぁ。

 勝てるかなぁ。

「大丈夫ですよ。あなたなら」


 手加減してよね?

 するつもりはありません。

 そんな余裕ないですもの。

「そんなぁ」

 そこまで残念がってもらえるとやりがいがあります。


 双翼のマシンメトリィに次ぐマシンメトリィを作って見せますよ?


「あくまでもマシンメトリィで勝負するつもりなんだ?」


 そりゃ勿論、対戦者と同じもので勝負しないと勝ったことになりませんから。

「後悔させるよ?」

 望むところです。


 では創業の準備がございますのでこれで。

「あり「それはとっといて下さい。来るべき時に」

 来るべき時、、

「今にわかりますよ」



 私のやるべきことは唯一つ。

 渡したメモリーにはワクチンプログラムを入れてあった。

 新しいウィルスが現れた時に自動生成を補助してくれるプログラムだ。

 ただし、毒性の強いワクチンを一度体内で解凍処理しなければいけない。

 天音ならうまく使えるはずだ。


 それより私が天音を補佐するには天音の側にいてはできない。


 天音の影響力は莫大すぎて私には耐えられない。

 あれで本人じゃないとかもう、、

 彼女の製作したマシンメトリィは影響力まで再現できてしまうのか。


 とにかくがんばりたいと思う。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る