第15話老朽化と永遠の若さ
ギリギリまでがんばるつもりだった。
認められないワケがない。
完全に生物なんだ。
機械扱いされてたまるか。
そうでなければ各種配属マシンメトリィの待遇がおかしなことなるからだ。
彼、彼女らは人間だ。
今回適応されていたのはあくまでもマシンメトリィに対するものではなく、マシンメトリィを買う人に対するものだった。
勿論それも必要なものだが、ハメられた感は否めない。
うまく言いくるめるのはやはりあちらの専売特許か。
_一般人ごときでは無理だよな。
あのおっさん姉さんをやらしい目で見てたしな。
やっぱりテレビとは違うのか。
_印象操作くらいはするだろうな。
ここにきてまたも
人類は人類の平和なんかよりも目先の欲に目が眩むのかと。
姉さんのいや天音さんの考えは間違いなく人類の未来のためだ。
勿論悪用される危険性は十分にある。
しかしどうだろう?
全人類分のマシンメトリィのリンクにワクチンプログラムを流し、今後現れるであろう新型のウィルスにも対応可能なものと聞いて、尻込みするだろうか?
それにマジックショーのこともあり荒手ではあるが、信憑性は得られたはずだ。
何か見落としている気がしてならなかった。
天音さんはそのことに気づいているんだろうか。
俺は二人のことが心配でなかなか眠れなかった。
ガチャッ
「お姉ちゃん参上!弟くんその考え待っただよ?」
うるさい。
夜中に大きい声出すな。
「だって躓いてんじゃないかってそろそろ」
「ありがとう。そういうところ流石姉さんだよ」
ゴソゴソ
「こーら、タケルの布団に潜るな」
「だってこうしないとはじまらないし」
何を始める気だ。
「タケルはさ。お姉ちゃんのことどう思ってるの?」
「前にも言ったろ好きだって。
でもそれは姉弟愛だってさ」
うん。でもさ。
好き、なんだよね?
「待ってくれ私は何を見せられている」
みよちゃんもタケルが欲しいんでしょ?
バカヤロー!何言ってくれてんの!
それより本題はそこじゃないんでしょ?
スル
みよの言葉で諦めたように天音さんは立ち上がり服を脱いだ。
恐らくこれはそういうことではない。
そうとわかっていても見入ってしまう。
「ごらんの通りこの体は本物と遜色ないほど滑らかな質感を醸している」
恐らくこっちの方が健康的な体だから、機能的にも半永久的に稼働することが見込まれている。
体内のメンテナンスを半永久的に行い、その都度足りない成分を割り出し食べ物からそれを摂取していき、この素体を医療用マシンメトリィと協力して維持していけば私はいつまでもこのままの姿で生きられる。
マシンメトリィに老朽化はあっても老化がないのはそのためだ。
事実上永遠の命を実現できるというワケだ。
さらにシェアリンクによって世界中のマシンメトリィと情報を共有し、ワクチンプログラムを流した今ならもうそれは完成したも同然。
「だけどそれじゃ死にたい人はどうするんだよ?」
勿論それでも寿命はある。
そんな人のために寿命はなくさなかった。
最後の切り札としてね?
「誰だって生きることに飽きることはあるし」
死ねないのもなかなかの地獄だしさ。
「あと忘れちゃいけないのが、逆流性プログラム」
いくらワクチンを流しても隙間はある。
僅かながらの隙間から「影」は訪れる。
そんな影にさえ天音は寄り添おうとしてんだよ。
「隙間分くらいなら私一人で何とかなるかなぁと」
「簡単な方の計算は苦手なんだね相変わらず」
いい?世界人口ナメんなよ?
全人類だぞ?
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