第7話俺達のマシンメトリィ
圧倒的に姉さんのマシンメトリィが世界的シェアを占める中、俺達のマシンメトリィも姉さんによって広められていった。
基本的なところは姉さんのマシンメトリィをベースにして制作していた俺達のマシンメトリィは姉さんの助けなしでは稼働できない。
「今はそれで仕方ないよね」
みよもそれで大方納得していた。
今闘うべきは彼氏の姉貴じゃないことは十分承知していた。
そんな中着々と人類滅亡の危機は迫っていた。
世界単位でコンピューターウイルスや感染症が広まりそれによって、生態系は確実に崩れていった。
ここにきて姉さんの準備が活きてくる。
政府に働きかけ保険適応を促し、マシンメトリィの演説で市民の心を掴み、旧型マシンメトリィによる生物ごとの遺伝子組み換え技術によって一部の病気を治癒、新たなワクチンをも生み出していた。
_ホントいつ寝てんの。
さらに新型マシンメトリィによる
全ての準備が整った段階で俺達のマシンメトリィは発表されさらなる脚光を浴びることになる。
皆は口々に今度はどんなマシンメトリィかと新たな災いより新たな技術に目を向けた。
「人間なんてこんなもんだよね」
流石に人によるとは思うが姉さんがそこまで見抜いていたことには正直驚いた。
_もう人間やめてるよな。
IQとかでは表せないと思った。
漫画みたいにスゴい数値になりそうで怖かった。
そんなことよりもなぜここまでのことが起こると思えたのだろうか。
姉さんは死に対する恐怖が人一倍強かった。
流石にそれだけでここまでとは思えない。
「タケル。一緒に寝て」
普通は逆だと思うが、姉さんが俺の布団に入り込むこともしばしばあった。
幼い頃から今までずっと。
みよは事情を知っているため深くは聞かずに三人で寝ることもまぁあった。
そんなことを繰り返している内に姉さんはあっという間に死んでしまった。
結局人はこのまま死に続けるしかないのか。
謎は解決しないままなのかと不安になった半年間。
姉さんの研究ノートに涙をつけた日も少なくなかった。
恐怖心からじゃない。
シスコンだからでもない。
不甲斐なさからだったと俺は思っていた。
「それは違うよタケル。私だってこんな学術書読めないもん。
もう完全に違う世界の言葉じゃん?」
普通医学書とかは海外の言葉で書かれていることが多い。
でも、姉さんが俺達に遺したコレはその殆どがこの世界の言葉じゃなかった。
一応俺達だって調べた。
ネット上だけじゃなく現地にも赴いて。
歴史上まで目を向けてもなかった。
象形文字なんかも調べたがなかった。
「説明書ついてて良かったね」
半年間それを使ってマシンメトリィの金型設計を一から行い、何とか俺達の魂と同期させることまではした。
学校で習ったことがこんなに役に立たないとは思わなかった。
人類の歴史を終わらせないために人類の歴史から外れる必要があるなんて思ってもみなかった。
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